試合レポート

都立東大和南vs都立雪谷

2023.04.03

粘る都立東大和南、最大5点差を追いつき都立雪谷に逆転サヨナラ勝ち

都立東大和南vs都立雪谷 | 高校野球ドットコム
逆転サヨナラ勝ちで抱き合う東大和南の選手たち

<春季高校野球東京都大会:都立東大和南8-7都立雪谷>◇3日◇1回戦◇府中市民

 5回を終えたところで都立雪谷が6対1と5点リード。その後、6回には都立東大和南が1死一、二塁からバントで送り、8番石渡の適時打で2点を詰める。7回には、ともに三塁打を生かして好走塁や重盗で1点ずつを加えて4対7。まだ3点差があったが、8回にも都立東大和南は1死一、二塁から、この日三塁打2本など3安打の1番田中が中前へはじき返して2点差とする。

 都立雪谷の伊達昌司監督は、7回から満を持してエースナンバーの御園 拓摩投手(3年)を投入していたが、スピードはあるものの制球がバラついていた。それでも、球威があるので2点リードは何とか維持できるという考えはあったであろう。

 ところが、9回の都立東大和南の執念はそれを上回った。

 先頭の4番藤本が中前打すると二塁に盗塁。さらに四球で一、二塁。その後、三振で1死となった。ここで、7番の福塚は6回に続いて送りバントをきっちりと決めて二、三塁とする。一打同点という場面ではあるが2死。しかも、打順は下位で、御園の球威で抑え込めるかと思われた。ところが、力みもあってか、ボールが先行して四球で満塁となる。9番橋本は3ボールの後、2つストライクが入ってフルカウントとなって6球目。ややボール気味の高めの球をたたいて左前打となって1点差。ここで当たっている1番田中。2ストライクと追い込まれながら、あと1球で御園もストライクが入らず4球連続ボールで四球押し出し。ついに同点となってしまった。

 そして2番川崎。先発して一旦、外野に回り、再び登板して、再び外野に下がるなど、この試合では守りの面で貢献していた。その川崎が、3ボールから2つストライクでフルカウントとなったが、6球目を右へおっつけるようにして打ち、これが逆転サヨナラ打となった。

 歓喜の都立東大和南の選手たちはその瞬間、一気にベンチから飛び出してきて、みんなで抱き合い喜び合っていた。最後まで諦めないという姿勢が、最後の最後で功を奏したという試合となった。

 サヨナラ打の川崎は、「もう自分が決めるしかないと思っていた。押し出しじゃつまらないなと思っていたので、勝負してほしかったのだけれども、フルカウントになって、狙い通り打てた」と、喜びを表していた。また背番号6ながら、先発投手としても、一旦は外野に退き、再びマウンドに登るということになっていたが、「(守備で外野にいた時にも)2度目の登板もあると思って準備はできていたので、まったく慌てることはなかった」と落ち着いていた。

 都立東大和南の就任9年目の高田敏之監督は、「5点先行されて、ウチも毎回安打は出ていたのですけれども、あと1本が出なくて苦しみました。5回にはタッチアップのミスなどもあって、決していい展開ではなかったのですけれども、『今までやってきたことが、発揮させられるのかやってみよう。ストライクが来たら、きちんと打っていこう』ということだけを言ってきました。最後は、その成果が出ました」と、奇跡的ともいえる逆転サヨナラ劇に喜んでいた。

 まさかの逆転サヨナラ負けとなった都立雪谷の伊達昌司監督は、「夏までには、立て直していかないといけません。今のままだとダメだということです」とさすがに肩を落としていた。球速もあり、将来性もある御園に関しては、「去年は下級生ということもあって、気持ちも楽に投げられたのでしょうけれども、最上級生になって、自分がやらないと…、という気持ちが力みになってしまっていました。気持ちの問題もあると思います」と、メンタルのコントロールの重要性も感じている様子だった。「実は、次の試合になる予定だった5日にはスカウトの方も何人か来られるという連絡もいただいていたのですが」と、西悠介部長も残念がっていた。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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