試合レポート

都立昭和vs筑波大駒場

2023.03.19

初回から点の取り合いの大乱戦は、都立昭和が5回に大量8点で筑波大駒場を突き放す

都立昭和vs筑波大駒場 | 高校野球ドットコム
昭和・厚木悠佑

<春季都大会1次予選:都立昭和17-10筑波大駒場(7回コールド)>◇19日◇代表決定戦◇錦城学園グラウンド

 前日の雨の影響で、当初の予定から1時間遅れでプレーボールとなった。

 都立昭和は先週の初戦で正則学園に競り勝っての進出だ。昨秋は、代表決定戦で駿台学園に敗れたが、チーム力としては安定している実力校と言ってもいい存在である。

 当初は、4、5点前後の競り合いになっていくのではないかと予想していた。ところが、試合は序盤から激しい点の取り合いというか、大乱戦となってしまった。

 先攻の筑波大駒場が打者一巡で4安打と四球や失策も絡んで3点を奪うと、その裏、都立昭和は打者11人で4四死球に8番の厚木投手の二塁打などで6点を奪って逆転。初回の攻防だけで43分を要するというものだった。筑波大駒場の朝木秀樹監督もたまらず、初回の6点を失って2死一、二塁というところで先発の石田投手を諦めて2人目の中根投手につないだ。そこで、かろうじて都立昭和の反撃を一旦は止めた。

 ところが、乱戦の展開は止まらず2回にも筑波大駒場は、5番西山の二塁打などで相手の飛球失策もあって3点を返して同点。それでも、都立昭和はその裏、制球のままならない筑波大駒場の2人目中根投手をじっくりと攻めて、失策と野選に四死球などで無安打で2点を追加する。それでも、筑波大駒場も3回に2番水野の三塁打や3番川根のポテン安打などで、またまた同点に追いつく。

 こうなってくると、どちらかがとにかく「0」のイニングを作らないと試合そのものの流れが止まらないのではないかという感じである。そんなことを思っていたら、その裏、筑波大駒場の石田投手は1番からの打順にもかかわらず、簡単に3者凡退で退ける。

 試合は、これでようやく一旦は落ち着いたのかなと思われた。4回は初めて両チームの表裏に0が並んだ。そして、5回からは都立昭和のマウンドは厚木から左腕の渡辺彗に代わっていたが、筑波大駒場が2死一、二塁から、相手の送球ミスで逆転する。こういう展開で、再度リードした筑波大駒場だった。このまま案外試合が膠着することもあるのではないかとも思われたが、そんなことはなかった。

 その裏の都立昭和は、そのまま8番に入っていた渡辺と続く原の連続二塁打でたちまち同点とすると、内野安打が相次いでチャンスを広げ、内野ゴロの間に逆転。そして、その後は四球、失策などもあって、まさに乱戦。結局打者13人で8安打、2四球に失策も重なるなど8点が入った。これで、試合そのものも、流石に行方が決した感があった。

 7回にお互いに1点ずつ取り合ったが、7点差で都立昭和のコールド勝ちとなった。7回コールドゲームながら、試合時間としては2時間45分という長いものになってしまった。

 何とか勝利して本大会進出を決めた都立昭和の大原博文監督もさすがに疲れた様子だった。「こんな展開になってしまって、もう、試合中は、会場校の錦城学園さんに申し訳ないなという気持ちでいっぱいでした」と恐縮していた。チームとしては、「今年は、それほど力がないのでしっかりと守っていくという形で、守りを鍛えてきたつもりだったんですけれどもね。相手のスイングが鋭くて力強く振ってくるものですから、それを意識しすぎてしまって、コースをついていったところで投手が制球を乱したというところもありました。本当に、よく負けなかったなあと思います」と、いうのが正直なところでもあろうか。

 それでも、本大会進出を果たして、「今度は引き締めていきます」と、次へ向けての意欲を示していた。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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