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【ドラフト指名総括・西武】人間性を高く評価した西武ドラフト。蛭間、山田など成功すれば、愛される選手が多数!

2023.01.19

【ドラフト指名総括・西武】人間性を高く評価した西武ドラフト。蛭間、山田など成功すれば、愛される選手が多数! | 高校野球ドットコム
古川雄大(佐伯鶴城)、蛭間拓哉(早稲田大)、野田 海人(九州国際大付)

 昨年3位の西武。22年のドラフトは本指名6人、育成指名4人だった。キャンプ前にドラフトを総括していきたい。

 西武は選手の力量以上に人間性の良さをどの球団よりも高く評価して指名しているように感じられた。いるだけでも周りを明るくさせる、チームの雰囲気を変える、性根の良い選手が多い。老若男女に愛されるナイスガイが多いのだ。

1人1人ずつ振り返りながら、人物面のエピソードがある選手についても触れていきたい。

 1位の蛭間 拓哉外野手(浦和学院ー早稲田大)は東京六大学通算13本塁打を記録したように、トップレベルの数字を残したスラッガー。ラストシーズンは打率3割以上を残すことはできなかったが、それでも1位になったのは、1軍でもそれなりに成績が残せそうな基礎技術があり、守備も基本を押さえており、脚力も高いからだと思われる。大学生スラッガーとしては体力面も問題ない。西武は外野手を固定できていない状況もあり、蛭間のようなスラッガータイプは1軍争いに加わるだろう。オープン戦や、開幕序盤からアピールすれば、スタメンとして1年間起用し続けたい選手だ。

 蛭間は人当たりの良い人柄でもある。浦和学院では主将、早稲田大では副将を務めたが、能力は主役クラスだが、チームとして脇役にまわり、主役となる人物を立てて、サポートできる一面があった。いろんな野球イベントを見ても、子どもたち相手にしっかりと盛り上げることができる。プロ野球選手としてお手本になるような行動ができる。また、野球理論もしっかり持つなど、同い年の選手から頼られるほどだ。

 実力、人間性含めて、これからの西武を背負って立つ選手であることは間違いない。

 2位の古川 雄大外野手(佐伯鶴城)は、22年の高校生外野手ではトップレベルの評価を受けていた。抜群の長打力に、俊足、強肩と1つ1つのスペックは見栄えがする。だが、課題は多く、NPBのレベルの高い投手陣に対応するのは時間がかかりそうだ。1年目は2軍でも打率1割台になっても仕方ない。ただ古川をインタビュー取材していて思ったのは自分を客観視していて、ドラフトではライバルとして、同じ高校生だけではなく、実力の高い大学、社会人の選手たちとの競争になることを理解していた。

 性根が良い選手だと実感している。不器用ではあるが、こういう選手は何かコツをつかんだ時はとてつもないパフォーマンスを発揮する。そんな成長曲線を期待したいし、西武にとっても自身の育成力の高さをアピールできる選手だと思っているので、これからの成り行きを見守っていきたい。

 3位の野田 海人捕手(九州国際大付)は、一級品の強肩と2季連続の甲子園に導いたリードセンスと、ディフェンス力の高さは22年の高校生でもトップクラスだった。ただ木製バットの対応を見ると時間がかかりそうで、持ち味を発揮するのは高卒3年目以降からではないか。投手陣から信頼を集めそうな守備力を持っているので、まずは2軍の正捕手を目指したい。


【ドラフト指名総括・西武】人間性を高く評価した西武ドラフト。蛭間、山田など成功すれば、愛される選手が多数! | 高校野球ドットコム
青山 美夏人(亜細亜大)、山田陽翔(近江)

 4位の青山 美夏人投手(横浜隼人-亜細亜大)は、昨年、大学日本代表に選ばれた本格派右腕。特にリリーフ時の投球は凄まじく、常時140キロ後半の速球に、スライダー、フォーク、カーブと、緩急と縦変化を使った投球がうまく、力強さを実感する。先発としては物足りなさがあるので、ラストシーズンの投球を見た限りでは、中継ぎとしてのほうが実力を発揮できそうだ。

 5位の山田 陽翔投手(近江)も実戦力が高い。140キロ後半の速球、140キロを超えるツーシーム、切れ味抜群のスライダーなどかなり完成されている投手だ。強靭なスタミナもある。何より素晴らしいのはマインドの強さ。甲子園で数々の修羅場をくぐり抜けた精神力がある。2年夏の甲子園での熱投でケガもあったが、しっかりと自分の体に向き合って、フォーム改善を行い、甲子園での活躍につなげた。

 さらに、U-18代表でも前半は不調が続いたが、フォーム改善でスーパーラウンド最終戦の米国戦では2回裏の無死満塁から登板して無失点に抑えると、継続試合として再開した後の3回も三者凡退に仕留める投球を見せた。

 投手としても上背があまりなく、上位指名された長身の本格派右腕と比較すると、将来性の面で物足りなさを感じてしまうかもしれない。ただプロ野球は、素質が高い投手よりも、創意工夫ができるマインドの強さを持った投手が生き残ると思っており、山田はそれに該当する投手だと思っている。気づいたら、世代トップの数字を残している可能性があるだろう。

 また近江(滋賀)の主将として、チームを俯瞰して見て、チームメートを牽引し、多賀監督も全幅の信頼を置いていたように、プロで活躍して立場が上がっていけば、そういう役割も期待できるのではないか。

 

 6位の児玉 亮涼内野手(文徳ー九州産業大ー大阪ガス)は高い守備力を持った好遊撃手だ。レギュラーではなくても、バックアップがいることはチームにとってもプラスになる。近年、下位指名の社会人遊撃手はしっかりとフィットしているので、貴重な戦力になれば、このドラフトの評価は高くなる。

 本指名6人を見ると、必ず活躍できるとは断言できないが、いたらプラスになる。応援したくなるような選手ばかりだ。ぜひ活躍して、より多くのファンに愛される選手になってほしい。

(記事:河嶋 宗一

【指名選手一覧】

1位:蛭間 拓哉外野手(浦和学院-早稲田大)
スケール感はドラフト候補のなかでトップクラスの左打者。内外角を全方向にスタンドまで運べる技術を持っている。

2位:古川 雄大外野手(佐伯鶴城
「ギータ2世」を目指す22年度の高校生を代表する強肩強打の外野手。

3位:野田 海人捕手(九州国際大付
世代屈指の捕手。U-18W杯では投手・捕手で出場を果たしたポテンシャルの高さもウリ。

4位:青山 美夏人投手(横浜隼人-亜細亜大)
最速151キロの本格派右腕。ツーシーム、スプリットも操る即戦力タイプ。

5位:山田 陽翔投手(近江
世代の顔。投打で才能溢れる最速149キロ右腕で完成度は高校生No.1。

6位:児玉 亮涼内野手(文徳-九州産業大-大阪ガス)
九州産業大時代から注目された俊足巧打の遊撃手。

選択終了

育成1位:野村 和輝内野手(東大阪大柏原-石川ミリオンスターズ)
高卒1年目ながら、飛距離はチームトップクラスのスラッガー候補。

育成2位:日隈 モンテル内野手(金光大阪-OBC高島-琉球ブルーオーシャンズ-徳島インディゴソックス)
投手として140キロ後半の速球を投げる強肩を持ち、圧倒的な俊足を持ち味にするアスリート型プレーヤー。

育成3位:三浦 大輝投手(時習館-中京大)
回転数の高い速球を投げ込む速球派右腕。

育成4位:是澤 涼輔捕手(健大高崎-法政大)
バイタリティー溢れた人間性が注目されるクレバー型捕手

選択終了

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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