足裏の痛み・足底腱膜炎とは
足底に大きな負荷がかかりつづけると足底腱膜炎を起こすことがある
オフシーズンの時期は体力づくりにかける時間が多くなり、それに伴ってランニング量も増える傾向にあります。今回はランニングの強度や負荷によって足底が痛くなってしまう足底腱膜炎(そくていけんまくえん)について、原因やメカニズムなどをまとめてみたいと思います。
●足底腱膜炎とは
足底腱膜炎とは、足の裏にある足底腱膜という組織が炎症を起こし、痛みを生ずるようになるものです。足底腱膜はランニングなどで体重が足底に加わったときに衝撃を吸収したり、逆に地面からの反力を伝えるバネのような機能を持ちますが、硬いアスファルトの上を長時間走ったり、体力レベルを越えた高強度のランニングなどを続けたりしていると、足底腱膜がその負荷に耐えきれずに炎症を起こして発症します。足のすねに痛みを生じるシンスプリントや、膝の外側が痛くなる腸脛靱帯炎とともにランニング障害の一つとされ、足の着地時には強い圧迫力、蹴り出した時には引き伸ばされる牽引力が加わって痛みを伴います。またかかとの下側を押すと圧痛が見られることもあります。
●どうして足底腱膜が痛くなるのか
足底腱膜炎を生じやすい要因としてまず挙げられるのが競技特性です。繰り返し行われる動作によって足底に負荷をかけるため、ジャンプ動作の多い競技(バレーボールやバスケットボールなど)や走る距離が比較的長く、ストップと切り返しなどを頻繁に行う競技(ラグビーやサッカーなど)などは足底筋膜炎のリスクが高いスポーツと言えます。この他にも硬いグラウンドやコンクリートで走る、跳ぶといった運動強度の強いものや、シューズの摩耗によって衝撃吸収能力が落ち、足底に負担のかかりやすい状態での高負荷トレーニングなども足底腱膜炎を起こしやすいと考えられます。野球の場合は特にオフシーズンにかけて、コンクリートなどの硬いところを走り続けたり、トレーニングでのジャンプ動作を繰り返したりといったことがその一因と考えられます。
●足底の筋力強化や柔軟性低下を改善しよう
硬い路面や運動負荷、シューズといった外的要因だけではなく、足底の筋力が低下していたり、足底周辺部にある筋肉の柔軟性が低下するといった個人のフィジカル的な要因(内的要因)によっても足底腱膜炎のリスクは高まります。偏平足などもともと足裏のアーチが小さい選手は、荷重による衝撃をダイレクトに受けやすく、その負荷が足底を始め、足首や膝、腰などにも影響を及ぼします。足底筋膜炎の予防として、普段から足指を使ったトレーニングを取り入れたり、足底をボールなどで軽くほぐしたりして足底のコンディションを整えることを心がけましょう。実際に痛みを発症したときは、基本的な応急処置(患部を冷やす、負荷をかけない等)を行い、痛みの出る動作はしばらく避けるようにします。痛みが強くなる場合は医療機関を受診して、適切な処置を受けるようにしましょう。また足底に入れるインソールなどによっても症状がやわらぐことが期待できますが、なるべく専門家に相談の上で使用を検討するようにしましょう。
文:西村 典子
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