鼻への打撲と出血の対処法
アクシデントによる鼻出血は鼻骨骨折がないかどうかをすぐに確認することが大切
野球のプレー時に見られる鼻出血は、顔面付近にボールが当たったり、何かに接触して顔面付近を強打したりしたときによく見られます。また特に何かにぶつかったわけではなくても、暑さや疲労が一因となって毛細血管の豊富な鼻粘膜の部分から出血することがあります。
鼻出血が見られる場合はまず止血を行いましょう。流水などを使って自然に出血がおさまるのを待ちます。また止血と同時に腫れを抑えるためにも、鼻の根元を軽く抑えながら氷などを使ってアイシングするようにするとより効果的です。このときできればクラッシュアイス(砕いた氷)が望ましいのですが、なければ氷水などを用いて打撲部分を強く刺激しないことも大切です。
【やってはいけない鼻出血対処法】
●上を向いて首筋をトントンと叩く
●鼻をかむ
●鼻にティッシュなどを詰めてプレーを続ける
顔を上に向けてしまうと鼻血が逆流して気持ち悪くなることがあるため、鼻の下をティッシュなどで抑えてしばらく流れるままにしておきましょう。止血目的でティッシュを鼻に詰めると、鼻の粘膜を痛めてしまうことがあるので、完全に止血できたことを確認した上でプレーに戻るようにします。
また、ボールなどが当たったときは鼻骨骨折を起こしている可能性があります。鼻骨は小さい骨であり、衝撃に対して骨折しやすいことが知られています。受傷直後に特に大きな変化が見られない場合は、冷却、圧迫といった一般的なRICE処置で対応しますが、時間の経過とともに腫れが生じると骨の変形を見落とすことがあります。鼻への打撲時には、必ず受傷直後の状態を確認しておくことが大切であり、鼻の変形が明らかであったり、鼻出血が止まらなかったりする場合(一般的な止血の目安は10分~15分程度)は、すみやかに医療機関を受診するようにしましょう。また鼻骨骨折のときに鼻をかんでしまうと、鼻の変形が大きくなったり、骨折部位にさらに衝撃を加えてしまったりすることがあるため、鼻をかむことはしばらく控えましょう。
鼻出血は比較的よく見られるものではありますが、特に鼻や顔面付近への打撲を伴う場合は受傷直後の状態を確認した上で、必要に応じて医療機関を受診することが大切です。
文:西村 典子
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