興南が沖縄野球のパイオニア、豊見城は赤嶺、石嶺らを輩出【ふるさとの夏物語～昭和編】
興南・我喜屋優監督
2022年も高校球児の目標、夏の甲子園への道がスタートする。各都道府県予選の抽選が本格化し、7月の本番へと突入する。
今年のセンバツ直前にもお届けしたが、夏も各都道府県の過去の出場校を振り返る企画「ふるさとの夏物語～昭和編」を始める。今年は「古豪」と言われるチームの復活が話題のひとつとなっているが、「昭和」の時代、1927年（昭2）13回大会から1988年（昭63）70回大会を駆け抜けた代表校を中心に紹介する。
第1回は沖縄。昭和時代に夏甲子園に出場したチームの出場回数上位ランキングは以下の通り。
興南は1968年（昭43）に2回目の出場でベスト4に進出した。現在、母校を率いる我喜屋優監督が4番中堅手の主将として出場。エース安次嶺信一投手を中心に見事な成績を残した。当時、春夏通じて沖縄県勢が1勝しかできなかった時代に、一気に4強まで勝ち上がり沖縄のパイオニア的な存在となった。1980年（昭55）からは4年連続で甲子園に出場するなど一時代を築いた。
沖縄水産と豊見城は、沖縄の高校野球を一気に全国レベルに押し上げた功労者ともいえる故栽弘義氏が率いて甲子園へと導いた。豊見城では1976年（昭51）から3年連続で春夏甲子園に出場。夏甲子園ではすべてベスト8という結果を残した。1976年は巨人でプレーした赤嶺賢勇投手を擁して準々決勝に進み、小松辰雄投手（元中日）を擁した星稜（石川）に0対1で敗れている。翌年は阪急（現オリックス）に入団した石嶺和彦捕手が2年生4番として出場。2年連続で8強という成績を残している。3年夏にバッテリーを組んだ神里昌二投手（元プリンスホテル）はDeNA神里 和毅外野手（糸満高出身）の父である。
沖縄水産は1984年（昭59）に初出場すると1988年（昭63）まで5年連続で代表。88年にはベスト4に輝き、平成に入った1990年（平2）からの2年連続準優勝の全盛期につながっていった。
沖縄県勢初出場は1958年（昭33）の首里。1県1代表ではなかったが第40回記念大会として各県で代表校が出場できたため、米国占領下だった沖縄で優勝した首里が出場した。1回戦で敦賀（福井）に0対3で初戦敗退。ナインは甲子園の土を当たり前のように持ち帰ろうとしたが、沖縄がまだ「外国」だったことで植物防疫法に抵触し沖縄に持ち帰ることが許されず、検疫官によって海に捨てられたのはあまりにも有名な話だ。
今年の春季大会は25年ぶりに沖縄水産が優勝した。古豪が復活を目指して熱い戦いに挑むことになる。
沖縄県勢初出場は首里。初勝利も首里（1963年・昭38）。最高成績は優勝で、興南が2010年（平22）に春夏連覇した。県勢通算成績は71勝52敗で、勝利数ランキングは19位。
[page_break:沖縄県勢の代表回数上位ランキング（複数回以上）]★沖縄県勢の代表回数上位ランキング（複数回以上）
1位 興南 12回
2位 沖縄水産 9回
2位 沖縄尚学 9回
4位 浦添商 4回
5位 豊見城 3回
★沖縄県勢の甲子園勝利数上位ランキング
1位 沖縄水産 20勝（準優勝2回、4強1回、8強1回）
2位 興南 19勝（優勝1回、4強1回、8強2回）
3位 浦添商 10勝（4強2回）
4位 沖縄尚学 8勝（8強1回）
5位 豊見城 6勝（8強3回）
【沖縄の夏甲子園出場校一覧】
1回 1915（大4） ―
2回 1916（大5） ―
3回 1917（大6） ―
4回 1918（大7） ―
5回 1919（大8） ―
6回 1920（大9） ―
7回 1921（大10） ―
8回 1922（大11） ―
9回 1923（大12） ―
10回 1924（大13） ―
11回 1925（大14） ―
12回 1926（大15） ―
13回 1927（昭2） ―
14回 1928（昭3） ―
15回 1929（昭4） ―
16回 1930（昭5） ―
17回 1931（昭6） ―
18回 1932（昭7） ―
19回 1933（昭8） ―
20回 1934（昭9） ―
21回 1935（昭10） ―
22回 1936（昭11） ―
23回 1937（昭12） ―
24回 1938（昭13） ―
25回 1939（昭14） ―
26回 1940（昭15） ―
27回 1941（昭16） 戦争のため中止
1942（昭17） 戦争のため中止
1943（昭18） 戦争のため中止
1944（昭19） 戦争のため中止
1945（昭20） 戦争のため中止
28回 1946（昭21） ―
29回 1947（昭22） ―
30回 1948（昭23） ―
31回 1949（昭24） ―
32回 1950（昭25） ―
33回 1951（昭26） ―
34回 1952（昭27） ―
35回 1953（昭28） ―
36回 1954（昭29） ―
37回 1955（昭30） ―
38回 1956（昭31） ―
39回 1957（昭32） ―
40回 1958（昭33） 首里
41回 1959（昭34） ―
42回 1960（昭35） ―
43回 1961（昭36） ―
44回 1962（昭37） 沖縄
45回 1963（昭38） 首里
46回 1964（昭39） ―
47回 1965（昭40） ―
48回 1966（昭41） 興南
49回 1967（昭42） ―
50回 1968（昭43） 興南
51回 1969（昭44） ―
52回 1970（昭45） ―
53回 1971（昭46） ―
54回 1972（昭47） 名護
55回 1973（昭48） 前原
56回 1974（昭49） ―
57回 1975（昭50） 石川
58回 1976（昭51） 豊見城
59回 1977（昭52） 豊見城
60回 1978（昭53） 豊見城
61回 1979（昭54） 中部工
62回 1980（昭55） 興南
63回 1981（昭56） 興南
64回 1982（昭57） 興南
65回 1983（昭58） 興南
66回 1984（昭59） 沖縄水産
67回 1985（昭60） 沖縄水産
68回 1986（昭61） 沖縄水産
69回 1987（昭62） 沖縄水産
70回 1988（昭63） 沖縄水産
71回 1989（平1） 石川
72回 1990（平2） 沖縄水産
73回 1991（平3） 沖縄水産
74回 1992（平4） 沖縄尚学
75回 1993（平5） 浦添商
76回 1994（平6） 那覇商
77回 1995（平7） 沖縄水産
78回 1996（平8） 前原
79回 1997（平9） 浦添商
80回 1998（平10） 沖縄水産
81回 1999（平11）沖縄尚学
82回 2000（平12） 那覇
83回 2001（平13） 宜野座
84回 2002（平14） 中部商
85回 2003（平15） 沖縄尚学
86回 2004（平16） 中部商
87回 2005（平17） 沖縄尚学
88回 2006（平18） 八重山商工
89回 2007（平19） 興南
90回 2008（平20） 浦添商
91回 2009（平21） 興南
92回 2010（平22） 興南
93回 2011（平23） 糸満
94回 2012（平24） 浦添商
95回 2013（平25） 沖縄尚学
96回 2014（平26） 沖縄尚学
97回 2015（平27） 興南
98回 2016（平28） 嘉手納
99回 2017（平29） 興南
100回 2018（平30） 興南
101回 2019（平31） 沖縄尚学
102回 2020（令2） （コロナで中止）
103回 2021（令3） 沖縄尚学
