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大学準硬式にいた149キロの剛腕・日比谷元樹 硬式から13キロアップの背景

2022.04.05

大学準硬式にいた149キロの剛腕・日比谷元樹 硬式から13キロアップの背景 | 高校野球ドットコム
慶應義塾大・日比谷元樹投手(慶應義塾出身)

 隠れた逸材がいるカテゴリーとして、密かに注目が高まっている大学準硬式野球。近年では西武に在籍する大曲錬投手(西日本短大付出身)が大学準硬式で奮闘し、NPBの道を切り開いたが、その系譜を追いかけてもおかしくない逸材が現れている。慶應義塾大の日比谷 元樹投手(慶應義塾出身)である。

 現在は最速149キロを計測する剛腕で、昨年の秋には関東地区の選抜チームに選出され、優勝を経験した。大学準硬式界では、紛れもなくスター選手であり、硬式でも十分に通じるレベルではないかと感じてしまうほどの投球だった。

 20日の横浜スタジアム、関東選手権4回戦・青山学院大戦に5番手で登板すると、2回無失点。3奪三振と危なげない投球。試合には敗れたが、大きく胸を張って強くリリースした真っすぐは、キャッチャーミットへ吸い込まれるように届く。乾いた音がスタジアム全体に響くところからも、球威があることは想像できた。

 ただ、「出来は80点です。変化球は抜けますし、真っすぐは走っていないので、フォームの修正をしたいです」と一言。自己評価が厳しかったのは、8月の全日本選手権で優勝するという目標があるからだ。これを達成すべく、日比谷は再び練習に打ち込んでいく。

 最速149キロと、大台の150キロも目前に迫っているが、慶應義塾時代は最速136キロ。縫い目の山が硬式球よりも小さく、指先でスピンが掛けにくい準硬式で、13キロの球速アップ。しかも、大学では、それほどウエイトトレーニングに取り組んだわけではない。フィジカル強化せずに、スピードアップさせた裏側にあったのは、準硬式ならではの世界観が関係していた。

 「高校までは先生に指導を仰ぐようにしていましたが、今はそういう人がいません。だから友人と動画を通じて、良いフォームの共通点を見つけることもできましたし、視覚的に理解できたことで、理解度が高まりました」

 様々な動画を通じて見つけたのは、胸骨周辺の柔軟性。日比谷の特徴ともいえる胸の張りは、大学準硬式の世界に入って必要性を見いだし、フォームの改善に取り組んできたというのだ。

 このほかにも、改善すべきフォームのポイントを1つ1つ仲間たちと研究し、考えて行動し続けたことで、149キロを計測するまでに成長した。

 関東選手権で優勝を逃し、目標である全日本での優勝のためには、リーグ戦で上位2位までに入ることが必要となった。そのためにも「下半身を使って投げられるように、1つずつ見直しつつ、柔軟性を高めれば、150キロには届くと思っています」と自らの成長を誓った。

 日本一の投手だと胸を張って堂々と証明するには、日本一のタイトルを獲得するのが一番だ。球速のみならず、実力も実績もNo.1が日比谷となる瞬間が来るのか。今後も活躍が楽しみだ。

(文:田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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