チューブの特性とトレーニング
チューブの特性を活かしつつ、目的を明確にしてトレーニングを行おう
トレーニングをサポートする用具は安価なものから高価なものまでさまざまありますが、自分で準備できて使いやすいものの一つとしてトレーニング用のチューブがあげられます。皆さんも一度は使ったことがあるのではないでしょうか。今回はチューブの特性を知り、どのようなトレーニングに向いているのかについて考えてみましょう。
●引っ張れば引っ張るほど負荷が強くなる
チューブの特性としてまずあげられるのが負荷のかかり方です。張力が負荷として体にかかるため、チューブを引っ張れば引っ張るほど負荷が強くなることは理解できることと思います。ところでスポーツ動作の多くは動作始めに大きな力を要し、その後は力を抜いて最初の勢いを利用するものが大半です(動き出しに最大負荷がかかる)。動作の終盤に大きな力が必要となるのは水泳のストロークやカヌーなどオールを用いて水を漕ぐといった水の抵抗に対するものが多く、基本的に野球の動作とは異なることも覚えておきましょう。その上でチューブの特性を活かしたトレーニングを行うことはできます。
●小さな負荷から始めることができる
チューブトレーニングは小さな負荷から始めることができます。負荷が小さいため、大きな筋肉を鍛えるには不向きですが、肩の腱板筋群(いわゆるインナーマッスル)をはじめ、関節を安定させるための小さな筋肉(たとえば足首を安定させるための筋)などを鍛えるには適しています。少し軽めの負荷になるため回数は10回~20回程度を3セットを基本として、鍛える部位などにあわせて変更するようにしましょう。肩の腱板筋群をトレーニングする場合はフォームが崩れないように意識しながら、関節可動域を最大限に使って行うことが大切です。
●投球動作と反対の動きを取り入れよう
チューブトレーニングで取り入れてほしい種目の1つがローイングです。投球動作を繰り返すとどうしても大胸筋や三角筋前部などの体の前面にある筋肉が収縮を繰り返すため、硬くなりがちです。体の筋バランスを整えるためにも広背筋や三角筋後部、上腕三頭筋などを使って体の前面部をストレッチするような意識でチューブを使ってトレーニングを行いましょう。背中を鍛えるというよりは筋バランスを整えるための負荷の軽いトレーニングという位置づけです。
トレーニング用のチューブは比較的手に入りやすく、取り組みやすいものです。一方でチューブは消耗品なので、劣化が進んだら早めに新しいものを準備するようにしましょう。チューブの特性を活かして普段のトレーニング、コンディショニングに活かしてくださいね。
文:西村 典子
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