Interview

最速144キロ大型左腕が雪辱の誓い、甲子園Vを土産にプロへ~神戸国際大附・楠本【後編】

2021.10.22

 今夏の甲子園でエースナンバーを背負った神戸国際大附楠本 晴紀(2年)。185㎝の長身から最速144キロの速球を投げる本格派左腕として、来年のドラフト候補にも挙げられている。今回は夏の振り返りと、来年に向けての決意を語ってもらった。

1球の怖さ知った夏甲子園

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楠本 晴紀(神戸国際大付)

 センバツでの悔しい結果を踏まえ、自らの課題と真摯に向き合ってきた。夏の兵庫大会では阪上とともに主戦として活躍。「自分のピッチングができなくて、ずっと先輩方に助けてもらった」と本人にとっては不本意な内容だったそうだが、5試合22回を投げて4失点とまずまずの結果を残し、春夏連続で甲子園出場を果たした。

 甲子園では背番号が兵庫大会の10番から1番に変わった。2回戦を除く3試合に登板したが、最も印象に残っている場面は準々決勝の近江戦で同じ2年生の山田 陽翔に2ラン本塁打を打たれた場面だという。

 1点を追う6回裏、二死三塁の場面で2ボール2ストライクから捕手の西川 侑志(3年)はインコースに構えていたが、それが抜けてしまい、外側へシュート回転したボールをバックスクリーンまで運ばれた。

「あの場面で、しかも同い年に打たれたのは取り返しのつかないようなことをした意識が頭の中にあります」と痛恨の一球を楠本は悔やんだ。降板後の9回表に味方が4点差を追いついてくれたが、その裏に失点してサヨナラ負け。「寂しい部分もありますし、3年生から学んだこともあるので、まだ3年生としたかったなという気持ちがあります」と3年生との別れを惜しんだ。

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甲子園の借りは最後の夏で

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楠本 晴紀(神戸国際大付)

 「もう一回、自分たちが春のセンバツに行って、日本一になるという気持ちで新チームはスタートしました」と決意を新たに3季連続の甲子園出場を目指した楠本。しかし、秋の兵庫大会では準々決勝で明石商に1対3で敗れ、近畿大会出場を逃すという結果になってしまった。

 この試合で楠本は先発したが、1対1の同点で迎えた6回裏に自らのフィールディングミスで勝ち越し点を献上すると、続く打者に適時三塁打を浴び、6回途中3失点で降板。打線の援護にも恵まれず、そのまま敗戦となった。

「自分のせいで負けたと言っても過言ではないですし、詰めの甘さが出ました」と敗戦の責任を背負い込んだ楠本。その後はフィールディング練習にも熱心に取り組んでおり、「今まで以上に野球に丁寧に向き合っていると思う」と青木 尚龍監督も楠本の姿勢を高く評価している。「もう一度、足腰を鍛え直して、春の大会では絶対に優勝してやるという気持ちで毎日頑張っています」と、まずは春の兵庫大会で成長した姿を見せたいところだ。

 楠本は140キロ超えの速球を投げる大型左腕ということもあり、来年の進路も注目されている。現時点で高卒でのプロ入りを目指すかはハッキリ決めていないが、「最終的にプロ入りできるように頑張ります。自分はやれることを精一杯やっていきたいです」と将来のプロ入りを目指して精進を続けている。それよりも前に目指すのはチームの全国制覇だ。

「自分の持ち味であるストレートをしっかり投げ切って、相手バッターをどんどん三振に取っていって、チームに流れを作っていくようなピッチャーになりたいです。最後の夏は『やっぱり神戸国際』というような夏にするので、もう一度この冬を頑張って、夏に向けて練習していきます」

 最後の夏に向けてこのように決意を語ってくれた楠本。世代ナンバーワン投手を目指すエースの出来に神戸国際大附の運命はかかっている。

(記事:馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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