Interview

ドラ1候補筆頭・小園健太の挑戦、一球に泣いたセンバツ【前編】

2021.10.06

 今年のドラフト会議で1位指名が有力視されている市立和歌山小園 健太投手。7月下旬に高校野球を引退してからも、プロ入りを見据えてトレーニングを続けている。今回は小園に今年の高校野球生活の振り返りやドラフトに向けての心境などについて伺った。

初の甲子園でつかんだもの

ドラ1候補筆頭・小園健太の挑戦、一球に泣いたセンバツ【前編】 | 高校野球ドットコム
小園 健太(市立和歌山)

 昨秋の近畿大会で4強入りして、今年の春に甲子園出場を果たした小園。「テレビで見ていた場所に自分が立っているという思いがあって、凄く楽しかったです」と初めての甲子園を振り返ってくれた。

 だが、コロナ禍の影響で甲子園練習ができず、1回戦の県岐阜商戦がぶっつけ本番でのマウンド。スコアボードに0を並べ続けてはいたが、先頭打者を出す場面が多く、好調とは言えない内容だった。

 「立ち上がりから制球が定まらなくて、凄く苦しかったです。得点圏にランナーを背負った場面でも要所要所でしっかり凌げていたんですけど、お互い点が入らない状況だったので、凄く苦しい展開ではありました」

 そうした中でも粘り強く要所を締める投球を見せ、得点を与えなかった。すると、9回裏に一死一、二塁から亀井 新生(3年)がセンター前に適時打を放ってサヨナラ勝ち。ネクストバッターズサークルにいた小園は真っ先に飛び出し、「甲子園で勝つのは目標にしていたので、まず1勝できたのは嬉しかったです」と仲間と喜びを分かち合った。

 2回戦の明豊戦は米田 天翼(2年)に先発を譲り、小園はベンチスタートとなった。リリーフで準備をするのは先発と違った難しさがあったと語る。

 「先発だと試合前から気持ちを作りやすいんですけど、リリーフになってくると試合展開次第で気持ちの持ちようが全然変わってくるので、本当に気持ちの作り方が難しいかなと思っています。あの試合は5回からと言われていたんですけど、本当に厳しい試合展開だったので、本当に緊張した準備の時間でした」

 それでも5回表からマウンドに上がると、エースの投球を見せる。いきなり2三振を奪って流れを引き寄せると、6回裏には松川 虎生(3年)が適時打を放ち、試合を振り出しに戻した。

 このまま自分たちのペースで試合を進めたいところではあったが、直後の7回表に二死三塁から代打の竹下 聖人(2年)に三遊間を破られ、勝ち越し点を献上。これが決勝点となり、1対2で敗れてしまった。

[page_break:「悔い」を飛躍のバネに]

「悔い」を飛躍のバネに

ドラ1候補筆頭・小園健太の挑戦、一球に泣いたセンバツ【前編】 | 高校野球ドットコム
トレーニングする小園 健太

 新チーム結成当初から目標としていた日本一には届かず、悔しさを噛みしめて甲子園を去ることになった。決勝点を与えた1球は悔いが残ったという。

 「打者一人ひとりにしっかりと気を抜かずに投げることを学びましたし、勝負どころでの甘くなった1球は凄く悔やまれるので、勝負球に気をつけようという気にはなりました」

 1球の怖さを知った初めての甲子園。「ストレートでファウルや空振りを奪ったり、キレの良いストレートを投げたいと思って取り組んでいました」とセンバツが終わってからはストレートの向上に力を入れてきた。そのために取り組んできたのが下半身強化だという。

 「下半身から見つめ直して、安定した下半身を作って、良い球を投げるために練習していました。走り込みももちろんですけど、ウエイトトレーニングもやっていました」

 さらにフォーム改善も入念に行ってきた。

 「センバツでは投げ終わりが左に流れてしまうことが多かったので、そこは流れないようにしっかりと見つめ直しながら、ピッチングでも動画を撮影しながらフォームを固めていきました」

(記事=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.16

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.06.15

西東京大会は激戦ブロックが続出!昨夏甲子園出場の日大三は国士舘と同ブロック!【2024年夏の甲子園】

2024.06.15

東東京の横綱に上り詰めた帝京、関東一の軌跡~前田三夫と小倉全由、2人の名将~【東西東京大会50周年物語③】

2024.06.15

【福島】日大東北がサヨナラ勝ち、帝京安積はコールド勝ちで4強入り<春季支部選手権大会>

2024.06.15

今年の東京は「スラッガー大豊作世代」! 超進学校に現れた「プロ入り明言」の二刀流、木製で本塁打量産の早実のスラッガーなどが夏を盛り上げる【注目選手リスト】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.16

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.06.14

15日に夏の甲子園抽選会!超激戦区・愛知が誇る逸材を一挙紹介!素材の宝庫・愛工大名電、中京大中京の149キロ右腕…そしてモイセエフはどこまで成長したのか?今年も全国クラスの逸材が点在!【注目選手リスト】

2024.06.11

【北海道】十勝支部は12日に抽選会!帯広大谷、白樺学園の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得