試合レポート

関東一vs東京成徳大高

2021.10.04

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引き締まった投手戦!関東一 1番打者・井坪の投打にわたる活躍で初戦突破

関東一vs東京成徳大高 | 高校野球ドットコム
関東一・井坪陽生

 試合前のスタメン発表で「1番ピッチャー井坪君」とアナウンスされると、球場がざわついた。昨年の秋は4番でも起用された井坪陽生であるが、この夏はメンバーから外れていた。それが、大谷翔平のように1番・投手で戻ってきたのは、驚きだった。「中学時はピッチャーもやっていたので、投げることもできます」と関東一の米澤貴光監督は語る。

 一方東京成徳大高には、3年生に岩井拓巳という好投手がいた。公式戦はほとんど岩井が投げていたので、新チームでは、投手の経験不足が懸念されたが、新エースの須藤竜童は、そんな懸念を吹き飛ばす好投手だった。

 試合は両投手ともテンポよく投げて、序盤から投手戦を予感させた。井坪は地肩の強さを感じさせる力強い球を投げれば、須藤も落ちる球をうまく駆使して関東一を抑えた。

 東京成徳大高は4回表、1番・西絆斗が四球、2番・羽吹薪之介の左前安打で無死一、二塁のチャンスをつかむが、二塁走者の西は飛び出したところを捕手からの牽制で刺され、羽吹は二盗に失敗し、チャンスを生かせなかった。関東一の捕手・富岡大阿の強肩が光った。

 その裏関東一はこの回先頭の2番・柳瀬冬和が中前安打で出塁すると、相手バッテリーの警戒を物とせず、二盗に成功。しかし3番・須藤彪の鋭い当たりは投直となり、二塁走者の柳瀬が飛び出し併殺となった。

 息詰まる投手戦。5回が終わって打たれた安打は、関東一の井坪は1本、東京成徳大高の須藤は2本だけで両チーム得点なし。そんな均衡が破れたのは6回裏だった。一死後関東一は2番・柳瀬が四球で出塁すると、すかさず二盗に成功し、3番・須藤の右前安打で柳瀬が生還する、関東一らしい効率的な点の取り方で1点を先制した。

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東京成徳大高・須藤竜童

 井坪は7回表からは本来の守備位置である中堅につき、マウンドには桝川颯太が上がった。野手に戻り打者・井坪が本領を発揮する。8回裏に左中間を破る二塁打を放ち、2番・柳瀬の左前安打で俊足を生かし一気に生還した。

 結局2対0で関東一が勝ったが、両チームとも2人の投手が登板。関東一が5安打2点。東京成徳大高が3安打無得点であった。両チームとも失策はなく、非常に引き締まった好ゲームだった。

 好投した東京成徳大高の須藤は、「フォアボールから点を取れてしまいました」ということが悔いとなった。それでも関東一打線を苦しめただけに、「気持ちで負けたらだめです」と、気持ちを新たにした。

 それにしても東京成徳大高は、春は東海大菅生に、夏は二松学舎大附に善戦した。それだけに、「いつもこんな負け方で、善戦に終わってしまう」と森田正裕監督は、破れそうで破れない、強豪の壁に気持ちを新たにした。

 一方関東一の先発・井坪は好投したが、「自分は打撃をやっていきたいです」と、打者であることを強調した。勝った関東一は、2回戦は早稲田実と対戦する。まさに因縁の対決といっていいほど、よく顔を合わせる両校だけに、好ゲームが期待できる。米澤監督は、「気持ちを引き締めていきたい」と2回戦以降に向けて語った。

(記事=大島 裕史


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関東一1番・井坪陽生
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6回関東一・須藤彪先制打
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4回マウンドに集まる東京成徳大高

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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