試合レポート

藤枝明誠vs掛川西

2021.05.05

初回に1点を奪い合った試合、8回に藤枝明誠が追加点。掛川西を下す

藤枝明誠vs掛川西 | 高校野球ドットコム
表彰を受けた藤枝明誠

 昨秋も、静岡県大会を制している藤枝明誠。近年、県内では安定した実績を残している。この春も、準々決勝ではこのところ上位で対戦することの多い加藤学園を下すなどして決勝進出を果たしている。また、西部地区の伝統校の掛川西は、昨秋から沢山君の評判がよかったが、今大会では準決勝で静岡との名門対決を制しての決勝進出である。

 結果的には、藤枝明誠は昨年秋に続いて2大会連続で県大会を制したこととなった。

 この試合の開始頃から、雨も降り出し、風も左右に舞ってくるという必ずしもコンディションとしてはいい状況ではなかった。そんな中での決勝戦となった。

 試合は、初回にお互いに1点ずつ取った後は膠着した形になっていく展開となった。

 初回の攻防は、ともに二死走者なしから得点するという形だった。
 掛川西は、3番榊原君が四球で出ると、羽切君の打球は失策となり一二塁となり、ここで今駒君が三遊間を破って二塁走者を迎え入れる。しかし、その裏の藤枝明誠も3番宮城君から川瀬君、西岡君と3連打してすぐに追いついた。

 こうした試合の入りだっただけに、5点前後の点の合いになっていくのかなとも思われたが、その後は試合そのものも定着していった。天候の影響もあったのかどうかはわからないけれども、比較的淡々と流れていった。もっとも、それだけ両校の投手がしっかりと投げていたとも言えるのだろうが。

 こうした流れで、2~7回まで掛川西は1安打、藤枝明誠も2安打という状況だった。藤枝明誠はエース格の小林君が4回を投げて、その後を左の山田君に繋ぐという、これまでも多くあったパターン。

 掛川西は、この日は当初から注目度の高い沢山君の先発を回避して、さらにはもう一人の注目投手と言われている榊原君でもなく、背番号11の高橋遼冬君が投げたが、その高橋君が3イニングながら粘って試合を作った。掛川西は、その後も4回からは左腕岩澤君で繋いで試合を維持していく。

 そのまま試合は7回まで、お互いに初回に奪った1点のみという展開で進んでいく。



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藤枝明誠・小林輝

 そして迎えた8回、掛川西の3人目の後藤君に対して藤枝明誠は、先頭の3番宮崎君が右前打で出ると死球もあって無死一二塁。西岡君が送ると、その後に暴投があって三塁走者が帰り均衡が破れる。さらに一死三塁で6番中野君の打球は投手のグラブをはじき返して内野安打となって、結果的にはこれが決勝点となる。

 掛川西も粘って、9回に7番中山君の左前タイムリー打で1点差とするなど食い下がったけれども、最後は藤枝明誠の山田君がしっかりと投げ切って併殺で退けた。

 これで、藤枝明誠としては2大会連続の静岡県1位校ということになった。藤枝明誠の光岡孝監督も、「この春の大会は、もちろんこうして優勝出来たことは大きいのですが、小林~山田という継投パターンを確立して確認出来たことは大きかった。それだけではなく、内野陣も含めて、試合で使える目途の選手が増えてきて底上げは出来たのではないかと感じている」というのが、この大会を制した感想だった。

 そして、2大会連続出場となった次の東海大会に関しては、「去年の秋は県1位で行かせて戴きながら、一つも勝てなかったことは責任を感じています。勝つことで、チームとしても成長していることを示したいと思う」と、抱負も述べていた。

 掛川西の大石卓哉監督は、「期待を込めて送り出した高橋が、初回こそ点を奪われましたか、粘って試合を作ったと思います」と、3回までだったが、高橋君の粘りの投球は称えていた。

 さらに、4回から投げた左腕の岩澤君も3イニングを0で抑えて後藤君に繋いでいった。「もつれてリードしたら、沢山の投入も考えていたし、9回は榊原も準備はしていた」と、この試合は、継投で繋ぎながらなんとかしていこうという戦いではあったようだが、8回に久しぶりのチャンスを上手に生かした藤枝明誠が一日の長があったということでもあろうか。

 秋に続いて東海大会へ駒を進める藤枝明誠の光岡監督は、「東海地区の強いところのレベルも、大体わかっているので、それらに負けないような戦いをしていきたい」と、思いを述べていた。また、掛川西の大石監督も夏へ向けて、「東海大会に出させて戴けるので、いい戦いをして何かを得たい」という思いである。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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