オリックス期待のホープ・紅林弘太郎(駿河総合出身)のファーム最多出場から見えた上昇数値
オリックス・バファローズ・紅林弘太郎(駿河総合出身)
福岡ソフトバンクの優勝で幕を閉じた2020シーズンのプロ野球。広島東洋・森下 暢仁や東北楽天・小深田 大翔を始め、ルーキーたちもその盛り上がりに大いに貢献したが、彼らのように一軍で活躍するルーキーもいる一方で、高卒ルーキーたちは主にファームで力を蓄えた選手が多かった。
未来のプロ野球を盛り上げるプロスペクトたちのルーキーイヤーを振り返りつつ、2021年シーズンの展望を見ていきたい。今回はオリックス・バファローズの紅林 弘太郎だ。
夏場以降に適応し、OPSも上昇
駿河総合時代は甲子園出場もなく、全国的には無名の存在だったものの、ドラフト2位と高い評価を受けてプロ入りを果たした紅林。昨シーズンはファームのレギュラーを守り抜き、一軍で安打もマークするなど充実の1年目を過ごした。
▼2020年シーズン成績
5試合 打率.235(17打数4安打) 0本塁打 2打点 0盗塁 1四球 4三振 長打率.235 出塁率.278(一軍)
86試合 打率.220(247打数68安打) 1本塁打 20打点 1盗塁 23四球 83三振 長打率.269 出塁率.281(ファーム)
開幕から1番・遊撃でスタメン出場を果たした紅林。86試合、338打席はウエスタン、イースタン・リーグ合わせて最多の数字だった。68安打は小園 海斗、林 晃汰(ともに広島)らに次ぐリーグ3位と健闘を見せた。しかし打率.220はウエスタン・リーグ14位(規定打席到達は15人)、長打率.269は同最下位、出塁率.281は同13位、83三振は井上 広大(阪神)に次いで多い数字。守備においても70試合で17失策、守備率.947と苦しんだが、高卒ルーキーながらファームで最多の出場機会を得たことは、球団の期待の高さを表している。
続いて、紅林のファームでの打席数とOPSの推移を見ていこう。
紅林 弘太郎の打席数とOPS(2020年・ファーム)
グラフからわかるように、開幕からシーズン終了までコンスタントに出場を続け、打席数も伸ばした紅林。開幕直後は0.7を上回っていたOPSは一時0.43まで下がるも、夏場以降は持ち直し、最終的には.550まで上げて見せた。8月は月間.585、9月は.635、10月は.638をマークし、プロの投球に適応してきたと言えるだろう。
シーズン終盤のOPS上昇の要因としては、長打力が増したことが挙げられる。8月までは3ヵ月で4二塁打、0本塁打(42安打中)だったが、9月は3二塁打、1本塁打(13安打中)、10月も3二塁打、1三塁打(13安打中)と、長打の割合が増加した。
シーズン終盤の11月には一軍昇格も果たし、初打席初安打を放つなど5試合で4安打をマーク。ファームでしっかり経験を積み、シーズン終盤に一軍デビューという、高卒1年目のお手本のようなシーズンを過ごした1年目だった。
故障していたとは言え、1学年上の太田 椋、宜保 翔ら内野の有望株がいるなか、紅林自身は一度も離脱することなくシーズンを走り切ったことは、2年目以降へ向けて大きな経験・自信となることだろう。今シーズンはファームでの出場数はキープしたまま、打撃・守備の内容を向上させたいところだ。具体的にはOPS.8以上をマークし、ファームのタイトル争いに加わることを期待したい。
2020年ドラフトでは2位で元 謙太(中京)、3位で来田 涼斗(明石商)と、上位で高卒外野手2人を獲得したオリックス。捲土重来を期すチームにあって、紅林をはじめ若手野手陣が着々と揃いつつある。
(記事=林 龍也)
データ協力: やきうのおじさん(@yakiunoojisan)
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