中日・石川昂弥はファームで常にOPS.6以上をキープ!来季はOPS.9超え&一軍初本塁打を!
福岡ソフトバンクの優勝で幕を閉じた2020シーズンのプロ野球。
広島東洋・森下 暢仁や東北楽天・小深田 大翔を始め、ルーキーたちもその盛り上がりに大いに貢献したが、彼らのように一軍で活躍するルーキーもいる一方で、高卒ルーキーたちは主にファームで力を蓄えた選手が多かった。
未来のプロ野球を盛り上げるプロスペクトたちのルーキーイヤーを振り返りつつ、来季の展望を見ていきたい。今回は中日ドラゴンズの石川 昂弥だ。
来季は400打席・OPS.9以上で質・量とも今季超えを
石川 昂弥(東邦出身)
愛知の名門・東邦で2019年のセンバツを制し、3球団競合の末に中日入りした石川。今シーズンはファームで結果を残し、一軍初打席初安打をマークするなど大器の片鱗を見せた。
▼今シーズン成績
14試合 打率.222(36打数8安打) 0本塁打 1打点 0盗塁 3四球 12三振 長打率.278 出塁率.300(一軍)
58試合 打率.278(205打数57安打) 3本塁打 24打点 3盗塁 28四球 57三振 長打率.380 出塁率.374(ファーム)
打率.278はウエスタン・リーグ5位、出塁率.374は同3位で高卒新人の中ではトップの数字となった。また、高卒新人の中で見ると長打率は3位、OPSは僅差で2位(1位は東北楽天・黒川 史陽)と、全体的に好成績をマークしている。
本塁打、打点などでは特別目立った成績は残していないが、これは7月に3週間ほど一軍に昇格しており、ファームでの出場機会が減ったことも影響している。
続いて、石川のファームでの打席数とOPSの推移を見ていこう。
グラフを一目見て分かるのが、シーズンを通してOPSが高い数字を維持していることだ。開幕直後は0.6付近だが、すぐに0.8近くまで浮上し、その後は常に0.6~0.8の間を推移している。
打席数は一軍に昇格していた7月を除き順調に増やしており、ファームではコンスタントに出場しつつ高OPSを維持していたのだ。
一軍登録を抹消された直後の8月頭には打率.231、OPS.661と成績を落としたものの、以降は持ち直し、打率.250以上、OPS.73以上を維持してシーズンを終えた。最後の最後で黒川(智辯和歌山)に抜かれOPSトップの座は譲ったものの、堂々たる成績を残した1年目だった。
オフの契約更改では即戦力として機能しなかったとダウン提示を受けた石川だが、コロナ禍における難しいシーズンに高卒1年目を迎え、一軍とファーム合わせて300打席近くを経験できたことは、大きな経験値となるだろう。
来シーズン、プロ野球が日程通りに開催されるのであれば、一軍・ファーム合わせて400打席以上に立ち、質・量ともに今シーズンを上回りたいところだ。その上で目安となるのはファームOPS.900だ。
2年目に新人王、3年目にはチームの主砲へと成長した東京ヤクルト・村上 宗隆は、1年目にファームで427打席に立ちOPS.879をマークした。近い将来、石川が飛躍するためにも一つの目安となるだろう。
欲を言えば、来シーズンは一軍での初ホームランも見せてもらいたいところだが、まずは数年後に年間30~40本を打てる大砲となるための、礎を築くシーズンとしたいところだ。
データ協力:やきうのおじさん(@yakiunoojisan)
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記事:林龍也