中日・石川はOPS.8越え間近!阪神・井上はウエスタン二冠へ前進!
巨人に優勝マジックが点灯するなど、今シーズンのプロ野球も佳境を迎えつつある。気候も穏やかになり、選手たちにとってもパフォーマンスを発揮しやすい季節となっていることだろう。そんな中、ファームでは高卒新人たちが奮闘を見せている。本企画では高卒新人のファーム成績を追いかけ、その成長を分析する。第15回では、野手たちを見ていこう。
埼玉西武・川野涼多は規定打席未到達ながら2本塁打
石川昂弥と井上広大
9月27日終了時点で、ファームの規定打席に到達しているのは下記9人だ。巨人の菊田拡和(常総学院)に代わり中日の岡林勇希(菰野)が入ってきた。彼らのOPSを可視化したものが下記グラフだ。
中日の石川昂弥(東邦)が、またパフォーマンスを上げてきた。この2週間でOPSを.757から.783へと上げており、.800を越えようかというところまで来ている。ウエスタン・リーグ3位の打率.289に加え、長打率、出塁率の項目で数字が上昇。打撃全体のレベルを上げ、シーズン終盤での再昇格の可能性も見えてきた。
石川に次ぐのが東北楽天の黒川史陽(智辯和歌山)だ。OPS.727はほぼ横ばいだが、安定して好成績を保っている。打率.286はイースタン・リーグ6位、得点31、安打55はともに2位の数字だ。さらに犠飛3はリーグトップで、一軍初打席でも犠飛を放っており、勝負所でのチームバッティングができていることがうかがえる。
阪神の井上広大(履正社)は、8月こそ0本塁打と苦しんだが、9月に入ってまた当たりが戻ってきた。9月29日の一発も含めて7本塁打、30打点は、堂々のリーグトップタイ。さらにこの期間9試合で8四球を選ぶなど、出塁率を大きく伸ばし、OPS.665としている。一軍は逆転優勝へ向けて崖っぷちの状況だが、状況によってはシーズン最終版での昇格もあるだろう。
規定打席に返り咲いた岡林は、リーグ2位の打率.292をマークし、OPS.685と好成績をキープしている。シーズン前半は単打が多かったが、打率をキープしながら長打も増えてくるなど、着実に成長してきた。
東京ヤクルトの長岡秀樹(八千代松陰)はOPS.634、武岡龍世(八戸学院光星)はOPS.554と、それぞれパフォーマンスを保っている。長岡はこのままいけばシーズン終盤の一軍デビューも近いだろう。
DeNAの森敬斗(桐蔭学園)、オリックスの紅林弘太郎(駿河総合)、広島の韮沢雄也(花咲徳栄)はいずれもOPS.550未満と、決して高い水準ではないが、二遊間を守りながら出場数を伸ばし続けている。じっくりと力をつけて、飛躍のきっかけを掴みたいところだ。
また、規定打席にこそ達していないが、埼玉西武の川野涼多(九州学院)が43試合128打席で長打率.333、出塁率.341でOPS.674をマークしている。本塁打も2本放つなど、伝統的に強打者が育つ西武で着々と力をつけているようだ。
一軍同様、ファームも試合数の大半を消化しつつあり、残りの出場数も限られる状況だ。どの選手にとっても楽な状況というのはないだろうが、1打席1打席を大事にアピールし、1人でも多くの選手が一軍の舞台を踏むことを期待した。
※成績は全て9月27日終了時点
データ協力: やきうのおじさん(@yakiunoojisan)
Twitterで野球の分析を行う。本記事のデータはすべて日本野球機構(NPB)のオープンデータを使用。
(記事=林 龍也)
関連記事
◆ティー打撃から深いこだわりが。オリックスの主砲・吉田正尚の工夫を凝らした打撃練習
◆オリックスの外野陣の練習にマシンあり?佐竹学コーチに聞く、プロとアマチュア外野手の違い
◆ドラフト5位でも侮れない勝俣翔貴(オリックス)の潜在能力に注目