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楽天・黒川史陽がハイパフォーマンス発揮!DeNA・森敬斗の起用法から感じる球団の期待

2020.08.04

 石川昂弥東邦)、岡林勇希菰野)の2人が、既に一軍デビューを果たした高卒新人選手たち。彼らに続こうと、二軍で汗を流す高卒新人のファーム成績を1年間追う本企画。第7回では、野手の成績を見ていこう。

ずば抜けた長打力を示す井上広大

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 8月3日終了時点でファーム規定打席に到達しているのは7人。シーズン序盤は順調に打席数を重ねていた中日の石川、岡林は一軍登録が続き、ファームの規定打席からは外れている。まずは、OPS.600を越えている3人から見ていこう。

 阪神の井上広大履正社)は長打率.453と、7人の中でもずば抜けた成績を残している。前回からは長打率、出塁率ともやや落としてはいるものの、5試合で1本塁打、4打点と、四番としての仕事は果たしていると言える。相変わらず三振数28は多いが、強く振った結果の三振だということがうかがえる。

 東京ヤクルトの武岡龍世八戸学院光星)は順調に出場数を増やし、打席数は100を超えた。打撃成績自体はやや物足りなくも見えるが、二遊間を守りながらOPS.688は立派な数字と言える。夏場を越えた辺りまでケガなく出場し、現在の水準をキープできれば、シーズン終盤での一軍終盤も見えてくるだろう。

 東北楽天の黒川史陽智辯和歌山)は主に二塁で出場しながら、OPS.666を記録している。打率.253も現時点では十分及第点と言える数字で、2本塁打、11打点も上々。さらに高卒新人トップの10四球を選んでいることが、高いパフォーマンスの要因とも言えるだろう。東北楽天の一軍は茂木栄五郎浅村栄斗鈴木大地ら攻守に優れる内野手が多く壁は厚いが、近い将来一軍で活躍することを予感させる成績を見せてくれている。

 この3人に次ぐ成績を残しているのが、巨人の菊田拡和常総学院)だ。本塁打こそまだないものの、5二塁打は武岡、井上と並んでトップの数字だ。打率が低く四球も少ないことから、課題は確実性と言えるが、現時点ではバットに当てる打撃よりも、持ち味である長打力を活かす方向で育ってもらいたい素材だ。

 東京ヤクルトの長岡秀樹八千代松陰)は二塁、三塁、遊撃で出場を重ねており、武岡とは1,2番で二遊間を組む機会も増えている。武岡同様、打撃にはまだ課題がありそうだが、まずはOPS.600越えを目指したいところだ。

 オリックス・紅林弘太郎駿河総合)は打撃面では苦しんでいると言える。しかしどんなに苦しんでいても、3番・遊撃での出場を続けており、球団の期待度の高さがうかがえる。一軍で活躍する2年目の太田椋に続く大器として、才能が花開く日を楽しみに待ちたいところだ。

 広島東洋の韮沢雄也花咲徳栄)もOPS.500を切っている。二塁には昨季高卒新人ながらファームで打率.300をマークした羽月隆太郎、遊撃には小園海斗らがいてスタメン争いも厳しいが、まずは今のペースで出場数を伸ばしていきたいところだ。

 横浜DeNAの森敬斗桐蔭学園)は規定打席には達していないが、全14試合で遊撃を守っており、他の守備位置には就いていない。肩の強さ、走力の高さなどからシーズン前には中堅での起用もという話も出ていたが、球団の次世代の遊撃手として育成しようという意図を感じる。成績上は攻守ともに苦しんではいるが、数年後に一軍で活躍してくれることを期待したい。

 今季はこれまでに24人の高卒新人野手がファームデビューを果たし、うち2人が既に一軍の舞台を経験した。今後もチーム状況によっては早期の昇格もあるかもしれないが、その日が来るまでの軌跡をまた追いかけていきたい。

※成績は全て8月3日終了時点

【データ協力=やきうのおじさん(@yakuunoojisan)】
Twitterで野球の分析を行う。本記事のデータはすべてオープンデータを使用

記事:林龍也

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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