ケガの応急処置をおさらいしよう!
湿布はアイシングの代わりに使うものではないことを理解しておこう
試合を目前に控え、ケガをしてしまったときに皆さんはどのような対応を行いますか。しばらく様子をみていればよくなるから…というケースも中にはありますが、基本的なケガの応急処置を行うのと行わないのとでは、その後の経過に大きな差が現れることが多いと考えられます。基本的な応急処置と勘違いしがちな対応についてまとめておきます。
■基本はRICE処置
RICE処置という言葉を聞いたことはありますか? これは基本的な4つの対応法について、英単語の頭文字をとったもので、安静(Rest)、冷却(Icing)、圧迫(Compression)、挙上(Elevation)の4つを表します。ケガの状況によっては対応が変わることもありますが、基本的には炎症症状による痛みや腫れなどはまずこの4つの項目をおさえておきましょう。特に患部を安静に保つこと、しっかりと冷却することはその後の経過を大きく左右します。冷やすことは炎症を抑える一方で、患部の修復過程を一時的におさえることもありますが、炎症を抑えることを優先させ、その後時間の経過(およそ48~72時間後)とともに少しずつ患部を動かして血流を促すようにすることが理想的です。
■デッドボールとコールドスプレー
コールドスプレーで皮膚表面から全体を冷やす場面をよく見かけますが、これは患部の冷却(アイシング)とは別物と考えましょう。その場でプレーを続ける場合、コールドスプレーは痛みの感覚を一時的に麻痺させることは可能ですが、時間の経過とともに腫れてきたり、ジンジンとした痛みが増すようであれば氷を使って患部をしっかりと冷やすようにしましょう。
■捻挫と湿布
よく捻挫をしたときに、市販の湿布を貼って対応する選手を見かけます。湿布を貼ること自体は適切なケースであれば問題ありませんが、患部を冷却するという目的であれば不十分であることを知っておきましょう。皮膚表面はヒンヤリとした感覚が得られますが、患部を冷却し、腫れや内出血などを抑えるほどには冷えないからです。また湿布を貼ったまま長時間放置したり、寝てしまったりすると、皮膚がかぶれたり、光線過敏症という副作用が起こったりすることがあるので、使用説明書をよく読んで使うようにしましょう。
文:西村 典子
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