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春夏合わせて13回甲子園出場・甲府工(山梨)元プロの指導も受けながら総合力で上位進出狙う

2020.06.22

春夏合わせて13回甲子園出場・甲府工(山梨)元プロの指導も受けながら総合力で上位進出狙う | 高校野球ドットコム
甲府工の3年生たち(写真提供=甲府工業高校野球部)

 全国で独自の大会の開催を議論しているが、山梨県では現在も議論が続いている。先行きが未だ不透明なまま活動を再開している学校の1つが夏春合わせて計13回甲子園に出場している甲府工だ。

 地元開催となった一昨年秋の関東大会にも出場し、昨秋は県大会ベスト4。準決勝では山梨学院に5対7で敗れたものの、接戦を演じた。学校は5月の段階で分散登校が始まっていたが、部活動はすることが出来ず。実際に再開したのは6月8日からだった。

 3月4日の練習を最後に自粛していたこともあり「3か月練習ができず過酷といいますか。辛かったです」と振り返ったのは指揮官の前田芳幸監督。自粛期間中は選手たちとLINEで練習映像をもらい、それを見て指導をする。いわゆる『リモート指導』という形でやり取りをして再開の時を待ち続けた。

 「普段の練習ですと全員をじっくり見られないんですが、今回は1人1人時間をかけてきっちり見ることが出来ましたので、個人のスキルは伸びてきました。ただ、まだ練習時間に制限がありますので、段階を踏みながらですが、選手たちの調子を確認して練習メニューを組んでいきたいです」

 LINEを上手く使って自粛期間を過ごしてきた甲府工だが、5月20日の甲子園中止が決まったときはLINEだけではなく、ミーティングでも話をした。
 「『非常に残念だ』という想いを伝えてさせてもらいましたが、今回は誰が悪いではなく、世界中でこうなっている。だから何ともできないが、今後をどうするのか。そちらに目を向けられるように話をしましたが、高校野球を通じてぶつかった試練といいますか、味わった悔しさから得られるものもあるんじゃないかと言うことも話をしました」

 前田監督はじめ、指導者も初めての事態で経験がない。「残念な気持ちばかりです」と選手たちと同じく心を痛めているが、そこから学び成長することが大事だと選手たちに伝えているのだ。

 また、女子マネージャーが自粛期間で複雑な気持ちを抱えて過ごしている選手のために、これまで撮影した写真を使ったモチベーションムービーを作った。それをLINEで見た選手たちは、「マネージャーに応援してもらっている」ことを再確認するなど、グラウンドでは切り替えて練習をしている。

 そんな甲府工の選手たちだが、「横浜と戦うなど、経験値が高い選手が多い」と前田監督は手ごたえを感じている。特に1年生ながら横浜戦でスタメンを張っていた山本圭介山村貫太らを中心とした総合力で勝負するチームにまとめた。

 秋も優勝を目指して戦ったが、準決勝で山梨学院の前に敗れた。「打力は強化してきて結果を出しましたが、土壇場で逆転を許してしまい精神力に課題がありました」と手ごたえと冬場における課題を見つけた。
 そこで体力トレーニングや走り込み、さらにメンタルトレーニングを重点的に取り組みながら、常に練習への取り組み方を大事にして心身を鍛えてきた。山本、山村の2人も主将と副主将として厳しく仲間に指示を出し、高い意識をもって取り組んできた。

 また2014年よりコーチとして楽天などでプレーをした山村宏樹氏が投手陣を中心に指導。「プロの世界を経験して、技術だけではなく体験談に基づいた話は選手たちのタメになっています。ありがたい存在です」とチームに欠かせないコーチであることを前田監督は語る。

 今後は6月下旬から練習試合を行い、徐々に調整をしていく。独自の大会は今後決まるが、集大成の夏があることを信じて、練習を続ける。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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