Interview

投手として開花しつつある入江大生(明治大)。一発勝負のリーグ戦でドラフト上位へ躍り出るか?

2020.04.07

 10年連続ドラフト指名を受けている明治大。昨年は広島東洋1位・森下暢仁大分商出身)、横浜DeNA3位・伊勢大夢九州学院出身)が指名を受け、即戦力として期待をかけられている。そして今年、この2人に続くのが入江大生作新学院出身)だ。

 作新学院時代、今井 達也(現・埼玉西武)らとともに全国制覇を経験。夏の甲子園では今も破られない3試合連続ホームランの活躍が評価され、U18にも選出。アジア選手権制覇に貢献した。

 これまでは入江の野球人生の始まりから高校野球3年間の話まで聞いてきた。今回は明治大進学のキッカケや現在までの話を中心に伺った。

投手として開花しつつある入江大生(明治大)。一発勝負のリーグ戦でドラフト上位へ躍り出るか? | 高校野球ドットコムこれまでの入江大生へのインタビューはこちらから!
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一塁コンバートから始まった甲子園3試合連続本塁打。入江大生(明治大)が振り返る作新学院時代の思い出

憧れと先輩の背中を追いかけて明治の門を叩く

投手として開花しつつある入江大生(明治大)。一発勝負のリーグ戦でドラフト上位へ躍り出るか? | 高校野球ドットコム
インタビュー中の入江大生

 それから六大学の強豪・明治大学へ進学を決めた入江。その決め手となっていたのは2つあった。
 「1つは先輩の添田真海さん(日本通運)がいたことですが、もう1つはずっと行きたかったんです。試合とかは見ていなかったのですが、明治の野球が好きで『カッコいいな』と思っていまして。ですので、小針崇宏監督にはずっと伝えていました」

 現在、日本通運でプレーする先輩・添田だが、入江は高校時代に添田の背中からあることを学んでいた。
 「ケガだけは気を付けていて、肩甲骨や股関節など全身のストレッチを今も続けています。これは高校から始めましたが、添田さんがきっかけなんです」

 入江の1つ上にあたる添田は元々身体が硬かった。しかし毎日ストレッチやっていくと、次第に柔らかくなるのを入江は見て、「意識すれば柔らかくなる」ことを学んだ。怪我を避けたかった入江は、柔軟性を身につけることで怪我を防ぐべく、添田をきっかけにストレッチを始めた。そのおかげもあり、プレーにしなりが生まれ、力強いボールを投げ込むことが増えたのを実感している。

 憧れの明治大に進んだ入江は、1年生の春からリーグ戦に登板。初勝利を掴んだのは3年生の春だったが、ここまで26試合に登板して防御率2.97という成績を残す。

 首脳陣から高い期待を寄せられて続けている入江は、昨秋のリーグ戦で先発初勝利。防御率0.82という数字を残して期待に答えると、11月に愛媛県で行われた大学代表候補の選考合宿に初参加。高校時代に代表メンバーだった早川隆久木更津総合出身)をはじめ、大学球界を牽引する選手たちが勢ぞろいだった。

 そこで入江は再び意識を高める必要性を肌で痛感した。
 「キャッチボールだけでも違いますね。合宿に来た人は質やレベルが高い。回転のかけ方やルーティーンとかも勉強になりましたし、しっかりボールに回転を掛けないといけないと改めて感じました」

[page_break:個人だけではなく、チームを勝たせる投手へ]

個人だけではなく、チームを勝たせる投手へ

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ピッチングをする入江大生

 入江はスライダーや、大学で習得したカットボールやツーシーム。さらにフォーク、カーブと多彩な球種だが、ストレートは150キロをマークする。このストレートにこだわりを持っている。

 「威力のあるストレートが理想なのですが、そのためにボールをつぶすイメージでリリースをしています。指を立てて最後までスピンを掛けるようにして、強いボールを投げ込めるようにしています」

 イメージではリリース時に120%の力を発揮するが、それ以外は0%でいることを心がけているとのこと。つまり脱力することが入江にとって大事になってくるが、加えて腕の振りも力強いボールを投げ込むための鍵になっていた。

 「2年生の春から取り組んできて選考合宿でも感じましたが、テイクバックを下ろさずに小さくして前を大きく振るようにするとボールに指がかかる。ボールを噛めるような感覚を掴んできたんです。また大学で森下暢仁大分商出身)さんや伊勢大夢九州学院出身)さんのフォームを見て脱力の重要性がわかったんです」

 現在プロへ進んだ先輩を良き教材として真似をした入江。さらに夏合宿に、疲労が蓄積されている中で投げ込んだことで、効率的なフォームを探したことがきっかけで現在のフォームに辿り着いた。

 そんな入江も気づけば大学4年生。2020年は野球人生の今後を占う勝負の年。そして学生野球ラストイヤーとなる。「自分の成績を残すことはもちろん、チームを勝たせる投手になりたい」と意気込みを残した入江。

 六大学は5月下旬へ延期となり、1試合総当たりの形式になることが決まった。一発勝負の異例なリーグ戦でエースとして勝ち星を重ねれば、入江にとって大きなアピールになるはずだ。一度挫折を経験した入江が力のあるボールを武器にライバルたちを圧倒する姿を神宮のマウンドで見せて欲しい。

(記事=田中 裕毅

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◆前編はこちら⇒2016年甲子園優勝メンバー・入江大生(作新学院出身)を変えた3年春の県大会
◆中編はこちら⇒一塁コンバートから始まった甲子園3試合連続本塁打。入江大生(明治大)が振り返る作新学院時代の思い出
【選手名鑑】入江 大生(作新学院)
【選手名鑑】今井 達也(作新学院)
甲子園出場経験者は約9割!春日部共栄・村田、愛産大三河・上田など明治大合格者14名は逸材揃い
U18代表の飯塚 脩人(習志野)を筆頭に今年の早稲田大スポーツ推薦合格者4名の顔ぶれが豪華すぎる!!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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