「声をかけられないのが非常につらかった」 渡邉正雄監督(大分商)は緊急ミーティングで選手の心のケアに尽力
大分商・渡邉正雄監督
11日、新型コロナウイルスの影響で第92回選抜高等学校野球大会が中止となることが決まった。大会史上初となる出来事に野球界だけではなく、世間でも大きく取り上げられた。今大会の中止の大きさを改めて実感するが、今大会に出場予定だった大分商の渡邉正雄監督に時間をいただき、お話を伺った。
まず今回の中止について話を聞くと、このように語った。
「13日練習を再開する予定でしたので、選手たちは11日、自宅で待機していました。そこに中止の報道が出てしまい、生徒の近くにいられず声をかけられなかったのが非常につらかったです」
渡邉監督も11日は高校入試の業務。その仕事の間に中止決定の速報が飛び込んできた。「嘘ではないか」とスタッフの間で話をしていたが、それは現実となってしまった。
「今の情勢を考えて覚悟はしていましたが、夏の決勝戦に負けて悔しい思いをした選手たちが何とか掴んだ23年ぶりの甲子園。私も選手たちも社会情勢でこうなることは1%も考えていませんでした。ですので、中止になって甲子園にたどり着けないのは残念です」
また、選手たちの精神面も心配だった渡邉監督は高校入試中だが、選手を急遽グラウンドに集めることを決めた。頭の中で今回の事態を整理できたとしても、16、17歳の選手たちでは心の仲間で整理ができない。そんな選手たちの心のケアをするためにミーティングを開くことにしたのだ。
このミーティングを渡邉監督は並々ならぬ覚悟をもっていた。それは目標や人間性、そして感謝を大事に選手たちに指導をしているからだ。
「僕は目標設定をしてから逆算しています。ですので、夏に向けてどういう風にしていこうか想定する必要があります。そのためにも選手の心を落ち着かせないといけないですが、僕がどんな言葉をかけるか。選手のこれからにとって一番大事な言葉になっていきますので。」
大分商では自宅待機の関係で、練習をしたのは7日と8日の2日間のみ。高校入試も重なりなかなか練習ができなかった。練習があまりできなかったことに「可哀そうだ」と感じながら、開催を願って朗報を待った。結果として大分商の23年ぶりの甲子園は遠ざかることとなったが、今回の出来事をバネに夏の甲子園で大分商の選手たちが躍進する姿を見られることを強く願う。
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