スクワットをすると腰が痛くなるとき
骨盤の傾きや股関節の動きなどをチェックしながらスクワットを行おう
野球に欠かせない基礎筋力を上げるためには地道なトレーニングを続けることが大切です。特に大きなパワーを生み出すためには、まずスクワットで下半身の筋力を鍛えるようにするという選手も多いでしょう。ところがスクワットを行うと「どうしても腰が痛くなる」という選手も中にはいたり、「腰が痛いからスクワットを行わない」という選手もいたりします。スクワットで腰が痛くなる理由について考えてみましょう。
●骨盤がニュートラルポジションではなく、傾いている
腰に手を当てたところに腰骨を触れることができると思いますが、これが骨盤の一部です。骨盤は中間位、もしくはやや前傾した状態にあるときをニュートラルポジションと呼び、体を横から見て、骨盤の前方に傾いているのを前傾(ぜんけい)、後方に傾いているのを後傾(こうけい)と呼びます。スクワットを行うときに骨盤が前傾してしまうと、体が反り腰になってしまって腰椎に負担がかかります。一方、骨盤が後傾してしまうと背中が丸まった状態となってしまい、重さを挙げるときに背筋が十分に使えずにやはり腰椎に負担がかかります。スクワットを行うと腰が痛くなるという選手は、まず骨盤の位置が正しい状態をキープできているかを確認するようにしましょう。他の選手に横から体をチェックしてもらうとわかりやすいと思います。
●股関節がうまく使えていない
スクワット動作を行う時に股関節を十分に曲げる必要があります。何も持たない状態で両手を股の付け根部分に当て、その手をはさみ込むようにしてしゃがむようにしてみましょう。股関節を十分に曲げないと手ははさむ込めないと思います。この動きを習得すると腰椎にかかる負担は軽減されます。正しい動作ができるようになってからウエイトを使ったスクワットを行うようにしましょう。
●体幹をうまく働かせること
スクワットは主に下半身の筋力を鍛えるエクササイズですが、同時に体の姿勢を保持するための体幹強化にもつながります。特に姿勢を維持するための腹横筋や腹斜筋といった深層筋群(しんそうきんぐん:いわゆるインナーマッスル)がうまく働かないと、体がフラフラした状態となり、腰椎にも余計な負担がかかってきます。腹筋の深層筋群に刺激を入れるためのエクササイズであるドローインなどを行い、その後にスクワットを行うなどエクササイズの順番を考慮することも一つの方法です。
特に腰椎に問題のない場合は、正しいフォームを行うことでスクワットでの腰痛は改善されると考えられます。痛みを我慢して行うのではなく、フォームや筋力などに原因がないかを確認してみるようにしましょう。
文:西村 典子
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