試合レポート

木更津総合vs中央学院

2019.09.29

唐川侑己以来の逸材投手か?1安打完封勝利の篠木健太郎(木更津総合)のピッチングを徹底解剖

木更津総合vs中央学院 | 高校野球ドットコム
篠木健太郎(木更津総合)

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 
9月29日に行われた秋季千葉県大会準々決勝・木更津総合vs中央学院の一戦は、木更津総合が2対0で勝利し、準決勝進出を決めた。エース・篠木健太郎は、1安打完封と好投。

 2回裏、木更津総合は、先頭の佐々木隼(2年)の左前安打と敵失で無死一、二塁のチャンスを作る。9番篠木の犠打で、一死二、三塁とチャンスを広げると、相手の野選と2番属増隆太(2年)の犠飛で2点を先制。今日の篠木は、この2点の援護で十分だった。

 2回戦の千葉明徳戦では8.2回を投げて、2失点、9奪三振の力投を見せていたが、ボール先行になる場面が多く、何度も得点圏に走者を背負うなど力みがみられた。

 しかし、今日の篠木は違った。1回表、二死一、二塁から、5番の飯山志夢(2年)をスプリットで三振に打ち取ると、3回表、一死まで5者連続空振り三振。前半の5回まで、10奪三振と圧巻の投球。

  千葉明徳戦とのピッチングと比べると、力みも抜け、流れるようなフォームで軸のブレも小さくなっていた。左腕は、グラブを伸ばした後、胸に抱えるのではなく、左肩を少し下げることで、腰がキレイに回転し、打者寄りで離せる投球フォームとなっていた。そのフォームからは、がむしゃらにスピードを求めず、質のある直球を投げる狙いが見えた。

 この日の直球は、常時140キロ前後ながら回転数抜群で、内外角、ひざ元、高めにしっかりと投げ分け、三振の山を築いた。

 さらに、変化球の質も素晴らしかった。これまでの篠木は、125キロ前後のスライダーで構成していたが、今日は120キロ後半のスプリットも加わった。これまで横変化主体の篠木にとって、縦変化が使えるとピッチングに奥行きが出てくる。

 このスプリットは、ストレートで同じ腕の振りで投げることができており、打者にとっては打ちにくい。さらに、110キロ前後のカーブの割合も多くし、ストレートを速く見せる工夫も行っていた。

 また、ピッチングのテンポにも変化があった。走者がいないときは、10秒以内に投げるテンポの良さをみせた。そのため、守備側のリズムもよくなり、木更津総合の守備陣は、千葉明徳戦と比べて落ち着いた守りを見せていた。テンポが良い投手は、走者を背負うと投げ急ぐ傾向があるが、篠木はじっくりと間を落ち着かせ、自分の間合いで投げることができた。そのメンタルの強さも魅力だ。

 今大会準々決勝までの3試合中2試合をコールド勝ちしている強力な中央学院打線でさえも、篠木の完璧なコンビネーションの前に為す術がなかった。

 こうなればスタミナが落ちてきた終盤に捉えていきたいところだが、篠木は8回表、この試合最速となる143キロをマークし、球威、コントロールともに最後まで衰えなかった。

 木更津総合は、2対0の完封勝利で、3年連続の4強入りを決めた。現在の篠木のピッチングの完成度は、同じ千葉出身の唐川侑己(成田-現千葉ロッテ)の高校時代と比較しても、いい投手ではないだろうか。次の対戦相手の習志野には、夏で敗れており、リベンジをなんとしても果たしたいところだ。

  また、篠木と投げ合った中央学院の近藤直弘も良い投手だった。左腕から投じる直球は、125キロ前後の直球を内外角に集め、ひざ元に決まるスライダー、チェンジアップを投げ分けることができていた。失点は、2回裏の2点のみ。完成度も高く、来春以降も「好左腕」として注目を浴びる存在となるだろう。

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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