試合レポート

西武台vs昌平

2019.09.28

今大会台風の目・西武台がAシード・昌平も破り準決勝進出!

西武台vs昌平 | 高校野球ドットコム
増田優真(西武台)

 西武台の勢いは本物であった。

 県営大宮球場の第二試合は、Aシード・昌平と、西武台との一戦である。

 昌平は今夏ベスト8のメンバー、特に鉄板である1~5番千田泰智(2年)、角田蓮(2年)、吉野創士(1年)、渡邉翔大(2年)、吉野哲平(2年)と不動の上位打線がそのまま残っているポテンシャル、経験値共に高いチームだ。新人戦も東部地区決勝で春日部共栄を15対3で破り優勝するなど、新チームも良いスタートを切っていた。一方の西武台は、前の試合をコールドで物にするなど、今大会全試合で二けた安打を放つなど、勢いに乗っている。

 まずスタメンだが、昌平は前の上尾戦とほぼ同じメンバーだが、沼生隆汰(2年)が新人戦同様に6番に上がり、この日7番には川田悠貴(1年)が入る。一方の西武台は前の川越東戦とメンバー・打順共に全く同じである。先発は西武台が左腕の増田優真(2年)、昌平が宮坂陸希(2年)と両エースが登板し試合が始まる。

 序盤から西武台がやや押し気味に試合を進める。

 西武台は初回昌平・宮坂の立ち上がりを攻め、先頭の武井大智(1年)が四球を選び出塁すると、続く小松大空(2年)がきっちりと送り一死二塁とする。3番・深田翔太(1年)も四球を選び一死一、二塁とするが、後続が倒れ無得点に終わる。

 一方の昌平も2回裏二死から6番・沼生が左中間フェンス直撃の二塁打を放ち、打線が持つポテンシャルの高さの一端を見せるが、後続が続かず無得点に終わる。

 2回以降、走者こそ出すが、なかなかチャンスを広げられずにいた西武台打線は、打順も2巡目を迎え昌平・宮坂を捉え始める。

 4回表、この回先頭の深田がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く松木光(2年)の所で西武台ベンチはエンドランを仕掛ける。これはピッチャーゴロに終わるが走者を進め一死二塁とすると、5番・山田隼(2年)がライト前ヒットを放ち一死一、三塁としチャンスを広げる。ここで6番・伊澤走(2年)が右中間へタイムリー二塁打を放ち、昌平・宮坂をマウンドから引きずり降ろす。

 西武台は5回表にも、2番手・左サイドの前田を攻めたて、この回先頭の庄司元汰(2年)がレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く武井もピッチャー強襲ヒットを放ち無死一、二塁とする。さらに2番・小松の犠打がサードの悪送球を呼び1点を追加すると、なお無死一、三塁から続く深田もライト前タイムリーを放ち3対0とする。

 一方このままでは終われないAシード・昌平もその裏すぐに反撃を開始する。


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森田(昌平)

 一死から川田がレフト前ヒットを放ち出塁すると、すぐさま二盗を決め一死二塁とする。二死後、9番・島田純弥(2年)がセーフティバントを決め二死一、三塁とすると、すぐに一走・島田が二盗を決め二死二、三塁とチャンスを広げる。だが、後続が倒れ無得点に終わる。

 6回以降は、西武台・増田、昌平の3番手・森田両投手が踏ん張りを見せたこともあり、試合が落ち着き始める。

 新チームの昌平は旧チーム・米山魁乙のような絶対エースがいないということもあり、新チームはこの日登板した3投手に市来や野手の角田など継投で凌いでいくのがパターンだ。この日も集中打でビックイニングを作るのが得意な西武台打線相手に、流れが行きそうな状況で早め早めの継投で凌ぎ最少失点で食い止めていた。

 だが、この日の増田はその上を行く投球を見せる。直球は130kmほどだが、球質が良く、そして何より持ち味である制球力が素晴らしい。この日も右打者のインコースへの直球を武器に、無四球で3ボールなったのも3度のみだ。しかも、キャッチャー伊澤が試合の状況や相手打者の様子を伺い、実にクレバーなリードをする。

 それではと、試合巧者・昌平は足で揺さぶりをかける。7回裏一死から7番・川田がセーフティバントを決め、すぐに二盗を試みるが失敗、続く森田もレフト前ヒットを放ち出塁すると、すぐに二盗を試みるがまたしても失敗に終わる。そう、西武台・伊澤は強肩捕手でもある。やや三塁側に流れる癖のある送球フォームだが、捕球してからが早く、コントロールも良い。

 結局、この西武台バッテリーが最後まで昌平打線を翻弄し続け無四球完封勝利を飾る。西武台がAシード・昌平を3対0で破り、21年ぶりの準決勝進出を決めた。

 まずは敗れたAシード・昌平であるが、そのポテンシャルは申し分なく、今大会は関東大会を狙える布陣であった。それだけにここでの敗戦は痛恨であろう。だが、今大会は新人戦と比べてもチームとしてやや受けに回ったか大会に乗れていない印象を受けた。このあたりは、Aシードとして迎える高校としての経験値もあるか。あとはメンタルの勝負だ。まずは春までに新チーム唯一の弱点でもある投手陣の底上げが必要不可欠であろう。

 一方の西武台だが、この日はとにかく浦和実業戦に続き完封勝利を飾った増田に尽きる。本来は増田、井原の継投が基本パターンだが、今大会の増田は好調を維持している。それも女房役の伊澤との阿吽の呼吸があってこそのものだ。打線もこの日二けた安打とはならなかったが、各選手がコンパクトなスイングを心掛け、鋭い打球を飛ばし続けている。1回戦から浦和実業、春日部東川越東昌平という難敵揃いの山を乗り越えながら、勝ち上がるにつれ日に日に力強さが増している西武台がついに準決勝まで上がってきた。悲願の関東大会出場まであと一勝となった。

(記事:南 英博

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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