山梨学院の吉田健人コーチが、監督である父の背中を追って、6年間書き続けた野球ノートとは?
山梨学院・吉田健人コーチ
父と一緒に甲子園に出ることが夢だった。高校では叶わなかったその夢を指導者になってから、ついに叶えることができた。
吉田健人コーチが、父・吉田洸二監督の背中を追って、山梨学院高校野球部コーチに就任したのは、この春からだ。
山梨学院大学在籍時にも、山梨学院高校野球部の学生コーチとして4年間、指導に携わっていたが、教員となり正式に野球部のコーチとなってからは、今年が初めて夏となる。
父・吉田洸二監督は、かつて長崎の清峰高校で、2009年春の選抜で優勝を経験している名監督。幼い頃から監督して活躍してきた父の姿をみて、健人コーチも指導者の道を選んだ。
親子鷹で臨んだ今夏の甲子園だったが、迎えた熊本工との初戦。延長12回の末、2対3で惜しくも敗れた。
県内では敵なしだったチームも、全国の舞台で勝ち上がることの難しさを知った。それでも、健人コーチにとって、全国の舞台での一戦一戦が、指導者として成長していく上で、大きな糧になることは間違いない。
今回は、そんな健人コーチが、高校時代からつけていた「野球ノート」について紹介したい。
健人コーチが、野球ノートに取り組み始めたのは、父・吉田監督が、清峰から、山梨学院に異動したことがきっかけだった。父と一緒に甲子園に行きたいと思って入部した清峰高校野球部から、監督である父がいなくなってしまう。これから何を自分は目指していけばいいのか。そんな揺れ動く心情をノートに書き綴った。健人コーチの当時のノートには、17歳の少年の心の叫びが、びっしりと記されていた。
高校時代に書いた4冊の野球ノートは、今でも大事にとってある。
「当時から、高校野球の指導者になることが夢だったので、指導者になって、高校生の気持ちが分からなくなってしまった時に、自分が高校生だった時に何を考えていたかが、このノートを見れば思い出せるかなと思って、今でもとってあります」
野球ノートを書いてきたのは、高校だけではない。大学入学後も、社会人になった今でも、ずっとノートを書き続けている。毎日の練習や試合中に気付いたことを書くメモ代わりとして使っているノートの他、もう1つ、野球の教科書のように使っているのが、「小倉野球」と書かれたノートだ。これは、横浜高校野球部で長年指導にあたってきた小倉清一郎コーチが、昨年から山梨学院にも月に数回、指導に訪れているが、その小倉コーチから学んだことをまとめたものだ。守備のポジショニングから、戦略・戦術まで、事細かく書かれている。小倉コーチから学んだことを一つも取りこぼさずに、自分のものにするために、練習後にその日に教わったことを丁寧に書き写していく。そして、このノートを使って、選手たちに指導するのも健人コーチの役目だ。
いつの日か、父と一緒に、全国制覇を成し遂げるために。健人コーチは、これからもノートを書き続ける。
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チームを引っ張るキャプテンの苦悩、選手を鼓舞する監督の親心、勝利を願うマネージャーの願い…。
野球ノートに綴られた言葉には、そんな汗と涙のドラマが詰まっています。
書籍タイトル:『野球ノートに書いた甲子園6』
著者名:高校野球ドットコム編集部
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