試合レポート

西尾東vs豊田西

2019.07.21

5回からはナイターの激闘、西三河公立の雄対決は西尾東が制す

 西三河地区を代表するといってもいい、公立の雄の対決である。ことに、近年の実績ということで言えば、昨年夏の東愛知大会準優勝はじめ、昨秋のベスト4、さらには2016年、12年夏もベスト4に進出している西尾東豊田西も、14年と12年夏にはベスト4に進出。10年秋も3位校で東海大会にも進出している。そして何よりも過去6度、愛知大会決勝進出という実績がある。そして、97年秋には東海大会を制して翌年のセンバツ出場を果たしているという実績もある。

 そんな両校の対決を見ようと、多くのファンがスタンドを埋めた。そして、両校の応援席も熱く盛り上がっていた。西尾東は、昨秋のベスト4進出の原動力でもある山田紘太郎君が注目されているが、この大会は背番号10だ。そして1番は春過ぎてから進境著しいという橋本君がつけており、この試合も、その橋本君が先発した。豊田西は、昨秋こそ県大会進出を果たしているが、この春は西三河の一次リーグを勝ちきれずにそこで敗退という不本意な成績だったこともあり、最後の夏へ向けての思いも強いはずだ。

 初回、豊田西の先発左腕の野依君はもう一つ制球が定まらず3四球で苦しむが、それでも何とか0に抑える。一方、橋本君はテンポもよく、3者凡退の立ち上がりで好調と見受けられた。ところが先制したのは豊田西で2回、二死走者なしから後藤君の一打は左翼スタンドに飛び込むソロホーマーとなった。チーム初安打がいきなりの本塁打である。出会い頭多的なところもあったが、橋本君としては少しコースが甘かったかもしれないが、ここはドンピシャリのタイミングで打った後藤君を称えるべきであろう。

 しかし、西尾東もすぐに反撃。3回に2四球と野選で一死満塁として5番大谷君がスクイズを決めて同点。なおも二死二三塁というところで越山君が左翼フェンス直撃の三塁打で2者を帰して逆転。さらに4回にも、二死一三塁から内藤君、加藤健輔君と中軸の連打で2点を追加。徐々に打線が、野依君の投球を捉えはじめてきていた。5回にも一死二塁に四球の越山君を置いて、8番永友君が左翼フェンス直撃の二塁打で6点目。リードを広げていっていた。

 5回裏から、照明塔がともって、そのことでまた、流れが少し変わってきたところもあったのか、橋本君が珍しく連続四球を与えてしまった。一死一二塁となったところで、豊田西は1番難波君が中前へタイムリー安打を放って1点を返す。捕逸、暴投など西尾東にバッテリーエラーもあったが、それでも何とか1失点でしのいだ。

 そして、西尾東の寺澤康明監督は、ここで動いて6回から遊撃手の小柴君をマウンドに送り、橋本君はベンチに下がった。小柴君は、内野手ながら変化球も巧みで、投手としても比較的器用なタイプではあるようだ。

 ところが、その小柴君が7回一死を取ったところで、足が攣るアクシデントで降板。西尾東はここで注目の山田君を投入することになった。

 山田君は代ってから4者連続三振を奪うが、当たり損ないが安打になることもあって8回は二死から連打を浴びるが、このピンチも三振で切った。結局、山田君は2回2/3を投げて、被安打2、奪三振6で内野ゴロ2という内容だった。

 寺澤監督は、「山田の投入も最初から考えていました。状況次第というところもあったのですが、8回までは橋本が投げて、間に小柴を挟むということも想定していました。ただ、足が攣るというのは想定外でしたから、それで山田の投入が少し早くなってしまいました」と、投手起用の流れを明かした。西三河の公立の雄対決を制したことに関しては、「豊田西は、ずっと引っ張っていっている存在でしたから、やはり夏の大会で勝てたことは嬉しいです」。そして、この日の戦い方については、「(4番の)加藤がマークされることは、ある程度は仕方がないと思っていますから、その次のところで打てるかどうかということなのですが、今日は越山と大谷が打ってくれたことが大きかった。苦しい戦いでしたが、いい流れで次へ向かえると思います」と、3回戦の、昨秋の3位決定戦で大激戦を演じた中部大春日丘との再戦を見据えていた。

 

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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