日焼けをすると疲れる理由

特に紫外線の強い季節は日焼けによる疲労も考慮しよう
夏の時期に屋外でプレーをするとどうしても日焼けをしやすくなります。「日焼けした体は健康的」というイメージがあると思いますが、日焼けによる体へのダメージも意外と大きいことを知っていますか? 日焼けをすると疲れを感じやすくなるのですが、なぜそのようなことが起こるのでしょうか。
●皮膚が「やけど」状態になる
日焼けは主に屋外で日光を浴びて、皮膚が赤くなったり、黒くなったりする状態をさしますが、これは皮膚が軽い火傷状態になっていると考えられます。さらに長時間にわたって日光に当たり続けると炎症症状が進んで皮膚が赤く火照った状態となり、ひどいときには水ぶくれなどが出来ることもあります。このような炎症症状が体のあちらこちらに見られると、その状態から回復するまでに時間を要することになります。
●紫外線によって活性酸素が増え、正常な細胞を傷つける
太陽光には目に見える光(可視光線)と目に見えない光があり、その中で最も波長の短い光が紫外線です。1日のうちでは正午ごろ、日本の季節では6月から8月に最も紫外線が強くなり、曇りや雨といった天候よりも快晴時により強くなります。強い紫外線を浴び続けると皮膚へのダメージも大きくなるのですが、体には防御反応としてメラニン色素(皮膚を黒くする働きをもつ)を生成し、紫外線から皮膚を守るようなしくみが働いています。ただこのとき、メラニン色素の生成と同時に大量の活性酸素を発生させることもわかっています。活性酸素は体の免疫作用を担う必要不可欠なものではありますが、過剰に増えると正常な細胞を傷つけ、疲労物質を生み出すといわれています。
●灼熱の環境下による水分不足
日焼けになるような環境下は気温が高いことが多く、運動をしていない状態であっても体は体温調節のために汗をかきます。適切な水分・ミネラル分を補給することが大切ですが、体内の水分が不足してしまうと血液中の水分も不足し、粘性の高い血液(たとえていうなら「ドロドロ血」)が全身を巡るようになります。血液は全身の細胞に酸素と栄養分を届け、運動などで発生した疲労物質を回収する働きがあるのですが、血流の悪くなった状態では体を動かす筋肉にも酸素が十分に行き届かないため思ったように動けなくなったり、疲労物質もなかなか代謝・分解されないため疲労をより感じやすくなります。
夏の活動では熱中症への対策と同時に日焼けによる疲労にも配慮が必要です。紫外線の影響を少なくするためにも、帽子を必ず着用し、練習の合間には日陰で水分補給を行う等、体力の消耗を抑えるような休憩の取り方なども取り入れるようにしましょう。
文:西村 典子
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