野球に活かす有酸素運動
スタミナ強化のためにはランニングだけではなく、他の有酸素運動にも挑戦してみよう
野球の競技特性としてランニングでは長い距離を走る機会は少なく、短い距離を全力で走ることの方が多くなります。野球のプレーにおいても野手が打球を追いかけるときや打者・走者としての走塁などを考えると、短い距離で爆発的なパワーを出すことが求められます(体力要素に置き換えるとパワー、スピードなど)。ところが野球には長時間プレーしても姿勢が崩れない、何度でも同じように爆発的なパワーを引き出すためのスタミナも同時に求められます。試合終盤で体力が消耗してくると、いつもと同じプレーができなくなる…というのはなるべく避けなければならないからです。このためにはある程度、心肺持久力を強化するような有酸素運動も必要になってきます。
心肺持久力を高めるためには長い距離を走ることも一つの方法ですが、同じ動作、同じランニング内容を繰り返し行い続けると体の一部分に過度な負担がかかり、シンスプリントや疲労骨折など慢性的なスポーツ障害を引き起こすことも考えられます。このため、ランニング内容にも変化をもたせながら行うことが望ましいと言えるでしょう。たとえばサーキットトレーニングなどでも心肺持久力を高める効果が期待できますし、走ることだけではなく他の有酸素運動を採用することも一つの方法です。
施設を使うことが可能であれば、スイミングなどでも心肺持久力を強化することにつながります。ある程度タイムを設定しておき、泳いだタイムの2倍を休息時間にあて、続けて泳ぐようにするとランニングで得られるような心肺機能の強化につながります。水泳は荷重が軽減されるので、下肢への負担が少なくなることもそのメリットとして挙げられます。また自転車などを使って長距離ロードを行うことや、マシンがある場合はローイング動作で上半身を中心とした有酸素運動を行うこともできます。
オフシーズンの代名詞ともいえるランニングですが、その内容は「何を強化しているのか」によってアレンジすることが可能です。毎回同じ内容で続けている場合は他の有酸素運動で代替できないかについても見直してみるようにしましょう。
文:西村 典子
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