試合レポート

習志野vs東海大甲府

2018.10.23

習志野 会心の選手&投手起用!山梨1位の東海大甲府に完勝!

習志野vs東海大甲府 | 高校野球ドットコム
高橋雅也(習志野)

 地元開催・山梨1位の東海大甲府が登場。大会4日目で登場と、これは1会場ために遅い登場だ。東海大甲府は全校応援、習志野も1回戦に引き続き吹奏楽部を動員。小瀬を会場にした全国大会のような雰囲気となっていた。

 2年ぶりの選抜を目指す東海大甲府。先発を託されたのは東海大甲府の先発・加藤匠(2年)だ。三塁側のプレートを踏んで、インステップ気味に踏み込んで真っ向から振り下ろす右のオーバーハンドだ。2年前の主戦格だった松葉を思い出す投手である。加藤はその松葉よりも球速はある。常時130キロ~138キロ(最速140キロ)の速球派威力があり、スライダー、カーブの精度もまずまず。関東大会でもなかなかのレベルの投手だといえる。

 だが、習志野、今日は全体的にバットが振れている。1回表には根本翔吾(2年)の三塁打、2回表には三塁打をきっかけに二死満塁のチャンス。1番角田勇斗の押し出し四球、2番小澤拓海のプッシュバントが一塁手の頭を超え、2点目を入れると、3回表には5番に入った高橋雅也(1年)が二塁打。この日の高橋は加藤のボールに対し、実に合っている。高橋雅はさすが5番に入るだけあって、鋭いレベルスイングでパンチショットができる選手で、こういう選手が控えているのだから心強い。ちなみに彼も角田、小澤と同じく佐倉シニア出身である。佐倉シニアおそるべし。

 さらに3回表、一死一、二塁では7番・櫻井亨佑(1年)がストレートをとらえセンターの頭を超える長打。二者生還し、5対0とする。

 ここで3回裏、東海大甲府は攻撃に入る前に、村中秀人監督は選手を集め、座らせて話し込んだ。すると、2番・齊藤龍成(2年)が左中間を破る適時二塁打、3番・鈴木虎我(2年)も甘く入ったスライダーを逃さず左中間を破る適時二塁打で2対5と3点差へ。

 習志野は先発・山内翔太(1年)は降板。山内はいつも降板する特異、ライトを守るが、今回はそのまま降板。2番手としてマウンドに登ったのは岩沢知幸(2年)がマウンドに登る。岩沢は110ロ台の速球と緩いカーブで勝負する右のアンダースロー。実は公式戦初登板。こんなタイプの投手がいるのかと驚きを隠せなかった。秘密兵器が成功するのは立ち上がりが不可欠。岩沢は4回裏、あっさりと無失点で退けると、さらに5回裏も、一死満塁のピンチもしっかりとしのぐ。

 追加点を入れたい習志野は7回表、二死から4番高橋一翔(2年)が安打で出塁。5番高橋雅がこの日、3安打目となる右前安打で一死一、三塁。ここで東海大甲府の敵失が飛び出し、1点を追加。さらに追い打ちをかけたい習志野は二死二、三塁とチャンスを拡大させ、7番櫻井が一塁強襲安打で二者生還して、8対2と6点差に広げた。

 しかし7回裏、3番小林が甘く入った変化球をひきつけてとらえた打球はレフトスタンドへもっていく2ラン本塁打で4点差に迫る。もし追加点がなければ1点差になっていただけに大きい3得点だった。それにしても3安打の小林の安打はすべて長打。ストレートにも強く、変化球にも強い。それができるのは癖のない構えからしっかりとタイミングが取れているから。インサイドアウトのスイングで、さらに軸がぶれずにキレイに腰を回転ができている。三塁守備を見ていても1つのエラーはあったが、動きはよく、肩も強いので、高いレベルでも活躍できる素養を持った野手である。

 岩沢は先頭打者に四球を与えたところで降板。マウンドに登ったのは飯塚脩人。やはり2日前に、9イニングを投げた影響からか、ボールの走りは今ひとつで、常時135キロ前後で、突き刺さるような威力あるストレートは少ない。それでも不調でも粘れるのが成長点。一死満塁のピンチも併殺打に打ち取る。飯塚は9回になってエンジン全開。本日最速の144キロのストレートでねじ伏せ、山梨チャンピオンの東海大甲府を下し10年ぶりの4強入りを決めた。

 今回は選手起用が会心だった。1番角田、2番小澤コンビで2得点をもぎとり、5番に入った高橋雅が3安打の活躍、関東大会から2試合続けてスタメンの櫻井が鋭い打球を飛ばし、また投手起用では左の山内、右アンダー・岩沢、速球派・飯塚のリレーと、東海大甲府打線を翻弄した。

 県大会から見続けてきた打撃内容、選手の起用、すべてがはまるという会心の試合内容で関東大会ベスト4入りを決めた習志野ナインの勝負強さに感服である。

(文・=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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