試合レポート

中京大中京vs菰野

2018.10.22

中京大中京が9回二死走者なしからサヨナラ勝ちでベスト4進出

中京大中京vs菰野 | 高校野球ドットコム
好リリーフして中京大中京・高橋宏斗君

 前日、静岡に7回コールドゲームで快勝した中京大中京。その勢いで、地元三重県1位校で、最速150キロを誇るエース岡林君を擁する菰野に挑んだ。

 中盤に菰野が追いついて接戦となった試合は、終盤は1点をなかなか奪えない展開となったが、9回の攻防で決着がついた。

 9回の菰野は、先頭の2番河端君が右線へ二塁打して無死二塁となって、続く川上泰平君がしっかりと送って一死三塁とする。ここで菰野はエースで4番の岡林君。菰野の戸田直光監督は、岡林君がネクストサークルへ向かったところで「おい、頼むぞ」と信頼の声を掛けていた。しかし、岡林君は少し力んだか、投ゴロで走者は動けず。さらに、5回に貴重な2点タイムリー長打を放っている大石君も6回途中からリリーフしていた中京大中京高橋宏斗君が気持ちのこもった投球で空振り三振に切って取って、ピンチを逃れた。

 しかし、その裏の中京大中京は簡単に二死。3対3で、そのまま延長戦に突入していくのではないかという可能性が非常に高く感じられてきた。ところが、ここで7番板倉君が右中間に落とすと、わずかなスキを突いて二塁まで好走して二塁打とした。板倉君は投手として先発して、6回二死まで投げていたが、そこて「少し球が浮いてきた」ということで、一塁手に下がり高橋君にマウンドを譲っていた。しかし、野手として声かけも積極的だった。そんな姿勢が、好走塁に繋がっていったのだが、二死ながら二塁へ進めたのが大きかった。

 この場面で中京大中京の高橋源一郎監督は、「ここへ来て一番当たってきている関岡に回ってきたので、ここで決めないといかんという思いで、一気に勝負を掛けていった」と、二塁に代走白井君を送り込んで、板倉君を下げた。関岡君は、期待に応えて岡林君の140キロ台のストレートに食い下がっていって、中前へしぶとくはじき返して、代走白井君は迷うことなく本塁を陥れてサヨナラ勝ちとなった。ベンチの采配と期待に選手がしっかりと応えて、中京大中京としては歯車の合ったいい形のサヨナラとなった。

 とは言え、中盤はやや苦しんだところもあった。

 140キロが常時マークされている岡林君だったが、いくらか球が荒れ気味だったこともあってか、中京大中京打線は初回、2回と四球や失策に、暴投、捕逸などで走者を三塁まで進めながらも、あと一本が出せず、スクイズを仕掛けるのも危険かなというところで、攻めきれないでいた。

 それでも4回に板倉君以下、関岡君、川合君と下位の3連打と菰野内野陣がやや乱れて送球ミスなどもあって2点を先制し、さらに二死一二塁で4番尾崎君が右越二塁打して3点をリードした。

 しかし、菰野もすぐに反撃して5回、失策と川上君の安打などで二死一二塁という場面で5番の大石君が右越三塁打して1点差。さらに6回にも一死満塁から2番河端君の右犠飛で同点に追いついた。こうなってくる追い上げた勢いと、荒れ気味の岡林君が的を絞らせない形になって、三者凡退はないものの、最後までは攻め切らせないでこらえていただけに菰野の流れかなという展開でもあった。ただ、岡林君は制球も整いきらないので球数も多くなってきていたのも確かだった。菰野の戸田監督としては、岡林君一人に頼り切らなくてはいけないというところにも苦しさがあった。

 こうして、堪えながらも中京大中京が最後に勝負強さを示したのだった。中京大中京の高橋監督としては、左のサイドハンドで変則の板倉君から速球派の高橋宏斗君への継投のタイミングも上手くはまった。「県大会以降で、調子が上がってきている。このチームはまとまりとしては非常にいいので、ここというところで力を発揮してくれている」と、ここへ来て状態そのものが上がってきていることを実感していた。

 

(文・写真=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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