世田谷学園vs都立江戸川
手の内知った仲だが、世田谷学園がわずかに上回って
先発の細田怜希君（世田谷学園）
一次ブロック予選を2試合連続の完封勝ちで進んできた都立江戸川。エースの船津君が安定していて、注目すべき存在だという声も聞かれていただけに、世田谷学園相手にどういう投球をするのか注目された。もっとも、この両校は[stadium]江戸川球場[/stadium]のナイターで取れたときなどに、都立江戸川の橋本康徳監督が世田谷学園の成瀬智監督に連絡して試合を組むことも多く「江戸球ナイター友達」でお互いに手の内を知った仲だという。だから、成瀬監督も当然船津君がかなりいい投手だということは知っていた。それだけに、「当たりたくない相手」だったのだが、クジのいたずらというか初戦での対決となった。
船津君は期待通り、連続三振から始まり、好調な滑り出しだった。一方、世田谷学園の先発10番の細田君もいい立ち上がりで好投手戦が期待された。
結果的には、船津君としては2回、わずかに投球が甘かったことが悔やまれることになってしまった。
この回、世田谷学園は先頭の4番石井君が右前打で出るとバントで進み、二死から四球もあって一二塁という場面で8番に入っている細田君。打ち取りたい船津君は、少し勝負を焦ってコースが甘く入ってしまい、それを細田君が逃さず左中間へ運んで2人を帰す三塁打となった。さらに、その後に内野失策もあってこの回3点が入った。都立江戸川としては痛恨のイニングとなってしまった。
自分が叩き出した3点のリードで、世田谷学園の細田君は心地よく投げられたようだ。捕手からのコンバートでもあり背番号10だが、成瀬監督は実質のエースと認めている。5回まではスイスイといいリズムで投げていた。そして5回にも3番野口君が羽越へ会心の三塁打を放って1点を追加している。ただ、6回にその野口君の失策絡みで暴投も絡んで一死二、三塁から、4番新見君のタイムリー打で江戸川は2点を返す。「いい選手なんだけれども…、ああいう雑なところがあるんですよ、それがなくなったらもっといい選手なんだけれども、そういう性格ですからねぇ」と、この日、追加点のタイムリー三塁打を放ちつつも、結果的には2失策となった3番・遊撃手の野口君を称えつつも戒めた。
それでも、「チームとしては、ここ10年くらいでも一番仲がいいんじゃないかな。それは、精神的主柱になっている石井(滉太郎)の存在も大きい」と主将を評価していた。また、世田谷学園では1年生でマスクを被っている秋山君の肩の良さも光っていた。
（文＝手束 仁）
