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ミレニアム世代の有力野手が一挙集結!大会を沸かせるバッターたち

2018.08.05

 第100回記念大会はミレニアム世代が最終学年を迎える記念すべき大会だが、全国各地のミレニアム世代の精鋭野手が集った大会で、これほどドラフト候補というべき野手が集った大会も久しぶりといえるかもしれない。そんなブレイクが期待できる逸材を紹介したい。

ドラフト候補として注目したい野手たち

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今大会注目の野手陣

藤原恭大大阪桐蔭
根尾 昂大阪桐蔭
小園 海斗報徳学園
蛭間拓哉浦和学院
野村佑希花咲徳栄
万波中正横浜
大阪桐蔭 山田健太大阪桐蔭
大谷 拓海中央学院
林 晃汰智辯和歌山
松井 義弥折尾愛真

 藤原はケガから復帰した近畿大会・明石商戦で5打数5安打。この時から藤原は膝が治ったということもあり、下半身に粘りが出てきた。それによって膝の割れができて、低めへの対応力が強くなったのが成長点といえる。走塁、守備を見てもハイレベルで、高校生外野手ではオコエ瑠偉が2015年にドラフト1位指名されているが、十分にそれに値するだけの実力は備わっているといえる。春夏連覇へ向けてこの甲子園でも躍動するのか。

 根尾は投手ではなく、やはり野手。140キロ後半の速球、130キロを超えるスライダー、さらに打たれても動じない強い精神力。実に素晴らしいものがあるが、高校通算20本塁打を超える長打力、春からスピード感が増した遊撃守備は見逃せない。

 小園は走攻守のスキルの高さは今年の遊撃手の中でもナンバーワン。去年までは総合力型の選手だったが、この1年で長打力が増した。またこだわりのある守備についても、去年のアメリカ代表のショートで、今年のMLBドラフトでブルワーズから1位指名されたブライス・トゥラングに影響を受けて、待って捕るから動いて捕るスタイルに変更し、高校生離れした守備力を身に付けた。

 蛭間は強肩強打の大型外野手。この春から土壇場での本塁打が多く、甲子園でも勝負所での活躍を見せてくれるだろうか。

 高校通算56本塁打を記録する野村は今年にかけて内外角への対応力が増した。北埼玉大会では、投手としての起用が中心だったが、強肩が光る三塁守備にも注目していただきたい。

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今大会注目の野手陣

 万波はこの夏で打率.542、2本塁打、12打点と過去最高の成績を残し、覚醒の兆しを見せた。完全覚醒と呼べないのは、まだハイレベルな投手を攻略していないからだ。甲子園レベルの速球投手を攻略できる対応力が身についたとき、完全覚醒といえるだろう。

 大阪桐蔭の山田は北大阪大会では21打数11安打、2本塁打、12打点と活躍を見せた大型二塁手。甲子園でも攻守にわたって素晴らしいパフォーマンスを見せれば一気に評価を上げることになりそうだ。

 大谷は、5月の練習試合で頭部に打球が直撃し、しばらく戦線離脱していたが、夏に復帰。決勝戦では本塁打を放ち、復調した。スイングの鋭さ、軌道の美しさ、潜在能力は、やはりドラフト指名級のものがある。

 林は高校通算49本塁打を誇るスラッガー。選抜では結果が出なかった反省を生かし、選抜後は後ろの動きが小さいフォームに変更してきた。甲子園の舞台では自分の実力を発揮することができるか。

 松井は191センチ88キロと恵まれた体格を武器に、高校通算40本塁打を記録している大型スラッガーで、「福岡のゴジラ」と呼ばれる。また打撃だけではなく、投手としても140キロを超えるように、高い身体能力が持ち味。この大会でブレイクすることができるか。

[page_break:爆発力はドラフト候補性に負けない!ブレイク候補の野手たち]

爆発力はドラフト候補性に負けない!ブレイク候補の野手たち

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ブレイクの可能性がある選手たち

 また、今年はドラフト候補として取り上げられなくても、楽しみな打者が多い。
 北から順番に紹介すると、5年ぶり出場の北照の4番・岡崎翔太は7試合で5本塁打18打点、打率.577とチームの三冠王。甲子園でもその長打を発揮できるか注目される。
 例年、強力打線が自慢の八戸学院光星は3本塁打を記録している主将・長南 佳洋は楽しみな巧打者だ。15年ぶり出場を決めた羽黒は、優勝を決める本塁打を放った4番・竹内大貴は3本塁打を放っている強打のセカンド。

 聖光学院の主将・矢吹は走攻守三拍子揃った二塁手、2年連続出場の原動力となった土浦日大の主砲・井上は球足が速い打球を連発し、さらに強肩が光る三塁守備も魅力。

 3年連続出場の木更津総合は千葉を代表する二刀流・野尻幸輝、アベレージヒッター・山中 稜真に注目。野尻は自慢のフルスイングを生かした打撃は長打だけではなく、状況に応じてヒット狙いに転じるなどうまさも光る。投手としても最速143キロの速球、縦横のスライダーで勝負する本格派でもあり、ぐいぐいチームをひっぱる兄貴分の性格も頼もしい。一方、山中は卓抜したバットコントロールを武器に低めの変化球も流し打つ上手さも持っている。

 中央学院は正捕手の池田翔に注目。準決勝から2試合連続で本塁打を放っており、調子を上げている。リード、スローイングも強く、攻守の要だ。横浜は走攻守三拍子そろった二塁手・横浜 斎藤大輝、長打力ならば世代トップクラスの長南有航も面白い。慶應義塾はパンチ力ある打撃と軽快な遊撃守備が光るショートストップ・宮尾将が楽しみな存在だ。5年ぶり出場の日大三は攻守の要・日置航は土壇場での活躍が光る強打の遊撃手、決勝戦でサヨナラ本塁打を放った大塚晃平は恵まれた体格を生かしたフルスイングが強烈な打球を飛ばすスラッガー。春の関東大会では3本中、バックスクリーン弾を2本放っている。二松学舎大附はミート力、長打力を兼ね備えた大型三塁手・平間 陸斗はここでドラフト候補に浮上するのか。3年連続出場の山梨学院の中心は4番・中尾 勇介。1本塁打6打点、打率.611、5盗塁と、打てて走れる巧打のセンターだ。

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彼らの活躍に目が離せない!

 2年ぶり出場の常葉大菊川は打率.818を記録する奈良間 大己は大会でも巧打を見せることができるか。初出場の三重白山は打率.458を記録しているトップバッター・栗山翔伍がカギを握っている。星稜は決勝戦で4本塁打を放った左の強打者・竹谷理央。投手としても140キロ台の速球を投げ、投打で活躍が期待される。

 4番を打つ南保良太郎はこの夏、石川大会記録を更新する5本塁打。春先よりもスイングスピードが上がり、救い上げるスイングには迫力が出ており、本塁打を打てるポイントをつかんできている。さらに俊足で強肩とスピードを兼ね備えた三塁守備も魅力だ。

 3年ぶり出場の敦賀気比は1年夏から経験している杉森 圭輔は、捕手としての総合力、打撃力も高い好選手。2年ぶり出場の近江は主砲・北村恵吾が滋賀大会で打率.533、12打点と勝負強い打撃が光っている。大阪桐蔭の主将・中川卓也はキャプテンシーの高さが注目されているが、その一方で、打率.474を記録しているバットコントロール、8四死球を選ぶ選球眼の高さ、泥臭い三塁守備も魅力だ。初出場の奈良大附は豪快なスイングから強烈な打球を飛ばす上野拓真、フルスイングを生かした東郷も楽しみな存在だ。

 中国地区では2年ぶり出場の創志学園は大会新記録となる5試合連続本塁打を放った金山 昌平、投げては最速148キロ、打っても2本塁打を放った二刀流・中山瞬が面白い存在だ。四国地区は四国ナンバーワンショートとして呼び声が高い水野 達稀丸亀城西)に注目。

 九州地区では、初出場の折尾愛真はフライボール革命と表現できるぐらいかちあげたスイングをする選手が多い。大会6本塁打を放った野元 涼柳田悠岐張りのスイングで、内角も、高めもスタンドインできるツボを持っている。トップバッターの長野 匠馬も3本塁打放っているスラッガーだ。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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