Interview

山上 信吾(常磐)「太田の剛腕 進化の始まりはプロから」

2017.10.22

 群馬県からプロを狙える投手が現れた。その名は、山上 信吾投手(群馬常磐)。183センチ75キロと恵まれた体格、上半身、下半身とバランスが取れたフォームから繰り出す速球は最速146キロを計測する。綿打中は、あの斎藤 佑樹投手を輩出した生品中の近くにある学校である。9月12日、プロ志望届を提出し、同校初のプロ野球選手の実現を誓う山上はいかにしてプロ注目投手へ成長したのだろうか。

投手の才能を引き出したショート・山上

山上 信吾(常磐)「太田の剛腕 進化の始まりはプロから」 | 高校野球ドットコム

山上 信吾(常磐)

 小学校1年生の時に野球の世界に足を踏み入れた山上は、小学3年生から投手を始め、中学時代はすでに最速128キロを誇り、市選抜チームで全国3位になるも、「他の投手が良かったので、基本野手で出ていました」
その選抜チームには、140キロ右腕・霜田 健太伊勢崎清明)、左腕・早川 和磨(関東学園大付)がいて、この2人が主戦として投げていた。山上は、当時監督だった河津 章氏からの誘いを受け、群馬常盤に進む。この時、128キロ。そこから20キロ近い146キロまでスピードアップした道筋は何だろうか。
1年生の時、「投手もやってたんですけど、大会では投げられる実力がなくて、野手としての出場が多かったですね」

 高校野球生活の序盤を振り返る山上。実はこれは河津氏の狙いがあった。
「山上は入学当時、肩は凄い強かったのですが、投げ方がめちゃくちゃで、遠投は強いボールを投げられても、短い距離ではだめだったんです」

 そのため河津氏は山上にショートをやらせる。短い距離で、鋭いボールを投げるには、力づくではコントロールが良いボールがいかない。ショートで日々、スローイング練習に明け暮れた。また山上が恵まれたのは1年生の頃。河津氏の知り合いで、アトランタ五輪で、チームタイの6試合に登板した木村 重太郎氏が指導にきており、投手としてのイロハを学んだ。
「重太郎も、山上はモノが違うといっていましたね」とアトランタ戦士も絶賛するほどの素質の持ち主だった山上の才能が開花するようになるのは2年生の頃である。

 入部当初は最速130キロ程度だった速球は、冬のトレーニング期間を経て、1年の3月には140キロまで上昇。投手陣で最速のスピードへと急成長を遂げた。
「ショートとして、スローイングの形を覚えさせたのは正解だった」と河津先生の育成計画は見事にはまり、速球投手としての片りんを見せた河津は、これまで野手兼任しながらプレーしていたが、この時期から投手に専念することが決定した。

[page_break:自信をつかんだ2年夏と秋]

自信をつかんだ2年夏と秋

 山上が投手として大きく自信を深めたのが、2年夏の群馬大会である。いきなり前橋育英と対戦。この年の前橋育英は春の関東大会で優勝し、その勢いで夏に乗り込んでいた。

 山上は3回からリリーフ登板。強力打線相手に堂々としたピッチングで8回まで投げて、2失点の快投。しかも最速144キロを計測したことは大きな自信につながった。

 そして山上がドラフト候補として注目されるようになった試合が、エースナンバーを背負った3回戦の渋川戦では、17奪三振。続く高崎経大附戦も8回1失点9奪三振の快投でアピール。プロのスカウトもグラウンドを訪れるようになり、このころからプロを意識し始める。

 「夏にピークを持っていけるように」と冬に入ったが、右腕上腕を痛めて一塁手として出場。5月の練習試合でマウンド復帰を果たし、プロスカウト陣も集う中、復帰後の第2戦で最速144キロを計測。夏までの練習試合では、最速で145キロ~6キロを計測するまでに復調を見せ、夏に突入。しかしここで調子を崩してしまう。

 3年夏群馬大会、初戦の中央中等戦ではリリーフとして登場したが、打者1人しか打ち取れず、3四死球、1失点に終わる。3回戦の高崎東戦では6回9奪三振、最速146キロを計測するなど、実力は示したように見えたが、本人は「全然ボールが走っていない」と悔やむ内容だった。4回戦の前橋工戦では、3.1回を投げ、無失点の投球。山上自身、好投ができたと振り返る試合。そして準々決勝では、前橋育英と対戦。1年間の成長した姿を見せるつもりマウンドに登ったものの、わずか1人しか打ち取ることができずに敗退。

[page_break:山上といえばストレートという投手になりたい]

山上といえばストレートという投手になりたい

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山上 信吾(常磐)

 集大成をかけた最後の夏。思い描く100%の投球を披露できず、不完全燃焼のまま終わってしまった。

 それでも、「夏大会が始まる前から決めていた」というプロへの道は揺るがなかった。9月12日にプロ志望届けを提出した山上は、連日、グラウンドに顔を出して、ピッチング、トレーニングに打ち込んでいる。プロ入りが実現したら、自慢のストレートを磨きたいと考えている。
「プロに入ったら、ストレートに磨きをかけて、『山上といえばストレート』と言われるようになりたい」という群馬の怪腕。

 3年間見守ってきた河津氏も、「最初は全く形になっていませんでしたが、本人の努力でだいぶ投手らしくなりましたし、ストレートのスピードも本当に速くなった」と目を細める。ドラフト間近に控え、「夏は結果が全く残せなかったので本当に不安です」と正直な気持ちを明かしてくれた。

 憧れは大谷 翔平。「指名の順番や球団にこだわりはありません。呼んでもらえたらそれでいいです」と語る未来の剛腕のストーリーは、まだ始まったばかりだ。

(インタビュー/文・河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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