枕崎vs出水中央

枕崎1点目

　枕崎の左腕・上野倖汰（1年）、出水中央の右腕・山﨑瞳哉（2年）、両投手の好投で1点を争う緊迫した好ゲームとなった。

　均衡が破れたのは7回だった。7回一死まで無安打に抑えられていた出水中央だったが、4番・藤﨑 祐大（2年）がレフトオーバー二塁打を放ち、二死二三塁とチャンスを作って、7番・濵﨑 優歌（2年）のセンター前タイムリーで先制した。

　枕崎は8回裏、好投・上野の代打で登場した中鶴 皇大（2年）がセンターオーバー三塁打を放ち、暴投で同点のホームを踏んだ。

　二死三塁とチャンスをつなぎ、3番・塗木元気（2年）の内野安打で勝ち越す。5番・下忠隆介（2年）にも左中間二塁打が飛び出し、この回計4点を奪って試合をひっくり返した。

　枕崎は1年生左腕の好投に、2年生を中心に持ち味の全員野球で応えた。

　8回、代打を告げられた中鶴は「三塁コーチャーをしながら、ずっと相手投手のタイミングをとっていた」という。日頃の練習試合でも終盤の代打で使われることが多く「自分の仕事は流れを変えたり、試合を決めることだとイメージして練習している」。2ボール1ストライクからの4球目をセンターオーバーに弾き返し「イメージ通りの打撃ができました」と胸を張る。

　9番・小湊 晴矢（1年）が四球で出塁、送りバントで一死二塁となったところで、小薗 健一監督は代打に背番号1の重信 誠（2年）を送った。代打で出るのは初めてだったが「監督さんから『お前なら打てる投手だ』と言われて自信が持てた」。2ストライク追い込まれ、予想していなかった変化球に体勢を崩されたが、しぶとく右方向にもっていくセカンドゴロが進塁打になった。タイムリーではなかったが「3番の塗木が絶対に返してくれるので進塁打を打つ」自分の仕事は果たした。今年の枕崎のモットーは「チームのために」であり、苦しい試合だったが「1人1人がチームのため、自分の仕事ができた」と重信は喜んだ。

　今大会、試合自体は3試合目だが、雨で順延になった2日にいずれも枕崎の試合が組まれていて、大会8日間中、5回球場に足を運んだことになる。「準決勝に勝ち上がった並みの回数」と小薗監督は苦笑する。3試合すべてが逆転勝ちで「移動にも慣れ、雨の中でも集中が切れていないのがよかった」（重信）。中鶴は「あと4回以上、球場に来ます」と力強く言い切った。

（文＝政 純一郎）

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