ヒートショックプロテインを増やす入浴法
ヒートショックプロテインを増やす入浴法
一日の疲れを癒やすお風呂は、アスリートにとって大切なコンディショニングの一つです。特に疲労回復を早めるためには湯船につかってしっかりと身体を温め、全身の血流をよくすることが老廃物・疲労物質の代謝をよくすることにつながります。身体を温めると傷ついた細胞を修復する働きを持つタンパク質(=ヒート・ショック・プロテイン、以下HSP)が増えることも知られています。
HSPは熱によるストレスを加えることによって、体内でより多く作られるといわれており、その作用は細胞修復だけではなく、免疫細胞の働きをよくしたり、疲労物質の一つである乳酸の発生を送らせたりする効果が指摘されています。乳酸はエネルギー源として再利用できるため、厳密には疲労物質とは言い切れませんが、筋肉を動かして多くの乳酸が発生し、それがエネルギー源として利用する量を超えてしまうとやはり体内に影響を及ぼします。こうした身体の中の変化に対し、HSPは身体の深部を温めることで増加し、疲労が蓄積しないようにさまざまな作用をもたらします。
体内のHSPを増やすためには身体を十分に温めることが不可欠です。シャワーでは皮膚の表面から温まりますが、なかなか身体の中までは温まらないため、なるべく湯船につかってじっくりと身体を温めることを習慣にしましょう。HSPを効果的に増やす入浴法を実践する場合は、入浴の前に必ず水分補給をしておくこと、自分の平熱を把握し、そこから1.5℃程度を上限として体温が上がるように入浴すること(およそ40~42℃のお風呂に20分程度つかる)、入浴後もバスタオルなどで保温につとめ、急激に冷やさないことなどが挙げられます(このときも水分補給は忘れずに)。また熱いお風呂に時間をかけて入るため、身体にはかなり負荷がかかります。体調のよいときを選んで行うようにし、毎日行うのではなく、週に2~3回程度にとどめるようにしましょう。
身体を温めると増えるHSPの効果を知り、コンディショニングに活かそう
帰宅後の入浴時間もアスリートにとっては貴重な時間です。毎日のコンディションを整えるためにも上手に活用したいものですね。
文:西村 典子
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