帝京vs日大二
帝京、サヨナラ勝ちも課題が多く残る試合に
サヨナラ打を打った志田太陽(帝京)
試合後、帝京の前田三夫監督が「なんとか勝ててよかったね…」と安堵の表情を浮かべたように、帝京にとってこれほど苦しい試合はなかっただろう。
先発マウンドは1年夏から活躍を見せてきた松澤海渡。しかし4回途中まで3失点を喫し降板。内容自体は悪くなく、滑らかな体重移動から繰り出すストレートは、常時128キロ~136キロを計測し、さらにスライダー、カーブをテンポ良く投げ分けていた。だが日大二打線は一発長打を打つ選手はいないが、構え方がしっかりとしていて、コンタクト能力が高い打者が多く、松澤に対応する。
4回表、味方のミスが絡んで1点先制を許すと、8番平田隼輝(3年)に2点適時打を浴び、0対3の3点の先制を許してしまう。
その裏、2番志田太陽(2年)の適時打で1点を返すが、6回表には、平田の2点適時打を含む3失点で1対6と突き放される。
だがそれでも6回裏、二死二塁から代打・高橋達哉の右翼線を破る適時二塁打、さらに8番川島智之の適時打で6対3と3点差に迫り、7回裏にも2つの押し出し四球と5対6と1点差に迫る。しかしそのあと、あと1本が出ず、9回表を迎える。しかし9回表、2つの失策が絡み、2番川端彪玄に中前適時打を浴び、5対7と突き放される。
9回裏、帝京は粘りを見せて、2つの押し出し四球で、同点に追いつくと、2番志田の中前適時打で逆転サヨナラで、辛勝で3回戦進出を決めた。
試合後、帝京の選手たちの表情はサヨナラ勝ちした後の爽快さはなかった。このままでは絶対に勝てないと猛省している様子が伝わってきた。
試合内容を振り返ると、この試合の失策は4つ。7失点に対し、自責点は1点。安打12本、四死球12個に対し、8得点。攻守ともに詰めの甘さを残した試合だったのだ。
帝京ナインの体格の大きさ、パワー、スピードが他校とワンランクレベルが違うことはわかる。投手も、平均して135キロ以上を当たり前のように計測する。しかしそれだけでは勝てないと、選手たちは強く感じているはず。次は日体大荏原。しかも延長戦を制し、勢いに乗っている相手だけに、この試合も苦戦が予想される。
だがこの試合をきっかけにしっかりと修正をして、さすが帝京と思わせる戦いぶりを見せてくれることを期待したい。
(取材・写真=河嶋宗一)
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