試合レポート

城西大城西vs明大中野八王子

2017.04.05

グレードアップした城西大城西・後藤、被安打4完投で3回戦進出

城西大城西vs明大中野八王子 | 高校野球ドットコム

後藤茂基(城西大城西)

 秋は、城西大城西が38年ぶりの8強に進出する立役者になり、一躍注目されるようになったエースの後藤茂基。この冬、腕をコンパクトに振るフォームに改めたが、「また戻しました」と本人は言う。それでも、秋よりいくぶんコンパクトになる一方、球威は明らかに増している。

その後藤を、強豪校の明大中野八王子がどう攻略するか、注目された一戦。明大中野八王子は、1回戦に続き背番号3の左腕、小林利哉が先発した。「テンポよく投げるので、試合のリズムを作ってくれれば」と、明大中野八王子の椙原貴文監督が期待しての起用であったが、立ち上がり、城西大城西の1番・高橋泰雅、2番・野口直輝と続けて四球を出す。「バントは考えていませんでした」と言う城西大城西の高野勝監督の期待に応え、3番・三枝諄輝は中飛。二塁走者・高橋は三塁に進む。一塁に残った野口は二盗し、二、三塁。4番・筒井奏羽の一ゴロを一塁手がはじき、打球が外野に転がる間に2人が生還した。
「あそこで、ノーヒットで得点が入ったのは、大きかったです」と、城西大城西の高野監督は言う。逆に明大中野八王子には重い2点であった。

 立ち上がりはどうなるかと思えた小林利だが、2回以降は立ち直る。しかし、城西大城西の後藤は、見た目以上に球に伸びがあるうえ、ツーシームなどで相手のタイミングを外した。「低めの真っ直ぐを見極めるのは難しかったですね」と、明大中野八王子の椙原監督も舌を巻く。

 それでも、4回裏には4番・小山瞬の中前安打と5番・山田真のレフトオーバーの二塁打で1点。8回裏にも7番・石川隼の右中間を破る二塁打と三失などで1点を入れたものの、後藤に9回を107球、被安打4、失点2、自責点1に抑えられた。

 城西大城西は、攻撃面では5回表に、四球の8番・土屋瑠世を9番・浜比嘉遼一が送り、1番・高橋の中前安打で還すという、効率的な点の取り方で追加点を挙げる。

 6回表に明大中野八王子は2番手に左腕の廣瀬大輔を投入。8回表に三枝の中前安打、筒井の二塁打による無死二、三塁の場面で、5番・清水稜太の左犠飛により1点を失ったものの、力のある球で、城西大城西打線を苦しめる。「肘を故障していたのですが、地道にトレーニングをして、しっかり投げてくれました」と明大中野八王子の椙原監督は言う。

 結局4-2で城西大城西が勝ち、明大中野八王子は、夏の大会のシード校の座を逃した。

 それでも、広瀬が故障から復活し、先発の小林利は、立ち上がりはつまづいたものの、2回以降は好投手の片鱗はみせた。さらに秋は主戦だった小林知樹、経験豊富な後山宗一郎もいる。1回戦からの登場になっても、戦える投手陣は揃っている。あとは、投打がいかにかみ合うかが重要になってくる。

 勝った城西大城西は、次は夏の大会のシード校の座をかけて、佼成学園と対戦する。東京は、1974年の第56回大会から東西2代表になったが、その時の初代東東京代表が城西大城西で、初代西東京代表が佼成学園であった。後藤にとっては、中1日の登板になるが、伝統校同士の力の入った好ゲームを期待したい。

(取材・写真=大島裕史

城西大城西vs明大中野八王子 | 高校野球ドットコム
注目記事
2017年度 春季高校野球大会特集

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.28

春の福岡地区を制した沖学園(福岡)、勝利のカギは異例の「決勝直前沖縄合宿」だった

2024.05.28

【大分】佐伯鶴城は4戦3勝、杵築は4戦で1勝<強化試合>

2024.05.28

【鹿児島NHK選抜大会】錦江湾が1点差勝利!出水工の追い上げ、あと1点及ばず

2024.05.28

【鹿児島NHK選抜大会】川内商工が2試合連続逆転サヨナラ勝ち!雨のため2試合が継続試合

2024.05.28

交流戦開幕、初戦の注目は髙橋宏斗vs.今井達也の初対決!

2024.05.25

【熊本】九州学院、熊本工が決勝へ<NHK旗>

2024.05.25

【関東】白鷗大足利が初、逆転サヨナラの常総学院は15年ぶり決勝<春季地区大会>

2024.05.25

首都2部優勝の武蔵大の新入生に浦和学院の大型左腕、左の強打者、昌平の主軸打者など埼玉の強豪校の逸材が入部!

2024.05.25

【岩手】盛岡大附がサヨナラ、花巻東がコールドで決勝進出、東北大会出場へ<春季大会>

2024.05.25

【佐賀】佐賀北が初戦突破!九州地区大会4強の唐津商は1回戦で姿消す<NHK杯>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【岩手】盛岡中央、釜石、水沢が初戦を突破<春季地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商