神戸国際大附vs上宮太子
神戸国際大附、相手バッテリーの配球をつかんだ積極的攻撃でコールド勝ち!
北山凌大(神戸国際大附属)
まさに相手の裏をかくような攻めだった。兵庫1位の神戸国際大附。スピードと戦略性を兼ね備えたチームで、自分たちの強みを存分に発揮した試合となった。
序盤、試合の主導権を握ったのは上宮太子だった。1回表、二死二、三塁のチャンスを作り、6番難波瑠維が一塁への内野安打。内野手の動きを見て二塁走者も生還し、一気に2点を先制する。上宮太子のソツのない走塁技術が光った試合だった。その後も、安打を放ち、塁上を賑わせる上宮太子。じわじわとプレッシャーをかけていた。神戸国際大附の青木尚龍監督は、嫌らしい攻めをするチームと感じていたが、「それは気にするなと選手たちに伝えていたんです。自分ができることをやりなさいと」と、相手に動じず、自分たちのプレーすることを選手たちに求めた。
そしてその嫌な雰囲気を払拭したのが、4番猪田和希の同点2ランだ。上宮太子の好投手・森田輝に対し、逆方向へ引っ張ることを意識した猪田。詰まった感触だったが、しっかりと振り抜いた結果、高校通算14号となる本塁打となった。猪田は兵庫大会決勝で顔面死球。左ほほなど負傷し、傷の回復のために、一時は手術する可能性もあった選手だった。しかし猪田の中学からお世話になっている医師の勧めで、超音波治療などで治すことになり、現在は傷みなくプレーできているようだ。
181センチ78キロと恵まれた体格をした大型スラッガーだけに期待がかかる選手。右方向へ打ち返す技術もあり、スイングも見ているとレベルスイングできっちりととらえることができる選手だ。
その猪田の2ランで同点に追いついた神戸国際大附は徐々に落ち着いた試合運びを見せていくが、6回表にバッテリーミスで勝ち越しを許してしまう。しかし6回裏に勝負を仕掛け、無死一、二塁の場面で5番北山凌大に打席がまわってきた。普通ならば犠打を仕掛けてもおかしくない場面だが、神戸国際大附は強攻。上宮太子バッテリーはファーストストライクを積極的にとる傾向にあり、その配球パターンをつかんで思い切り振らせることにした。それがピタリとはまり、北山は右中間を破る適時二塁打で勝ち越しに成功。その後、一死満塁のチャンスを作り、エース・黒田倭人が絶妙なセーフティスクイズ。これで5対3に。このスクイズは非常に大きく、森田は明らかに動揺し、置きに行ったストライクを神戸国際大附打線は逃さず、結局、打者15人、9得点の猛攻。
接戦が、コールドゲームとなり、ベスト4進出を決めた。神戸国際大附の強打とスクイズがピタリとはまったが、これも相手バッテリーの心理を見抜いて、攻めていった。相手に合わせることなく、相手の隙をついた神戸国際大附の野球は近畿大会でより洗練されている。
次は大阪桐蔭。現在の自分たちの実力が試される相手になりそうだ。
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