試合レポート

大阪桐蔭vs智辯学園

2016.10.30

まさにスター!根尾 昴がバックスクリーン弾&好守備連発で勝利に貢献!

大阪桐蔭vs智辯学園 | 高校野球ドットコム

根尾(大阪桐蔭)

 4番ショート・根尾 昴

 このオーダーを目にした多くの方が「おっ」とうなったことだろう。中学時代から最速146キロを投げる剛腕として知られた根尾だが、高校では野手として出場することが多かった。打者としても活躍を見せて、大阪大会の4回戦の大阪偕星学園戦で左中間に飛び込む豪快な本塁打を放ち、投打で存分に才能の高さを示していた根尾は遊撃手としての守備もうまい。まず良いのは動作のスピード感、そして身のこなしの良さ、投手としても最速146キロを計測する強肩だけあって、普通の送球だけではなく、クイックスロー、スナップスローも力強いのだ。

 高校に入ってから本格的に遊撃手を始めたという根尾。しばらくは投手兼外野手の起用が続いていたが、遊撃手としての出場は汎愛戦以来。西谷浩一監督は「大事な試合ですが、彼の物怖じしない性格、積極性にかけて起用しました」と語るように、実際に根尾に4番起用が決まった瞬間の心境を伺うと、「よっしゃー!と思いましたね。本当かよ!という驚きは僕にはなかったです」と4番起用に喜びを見せていた。西谷監督がいう物怖じしない性格がこのコメントからわかる。

 その大阪桐蔭は初回から畳みかけた。二死一、二塁から5番中川 卓也は高めのストレートをたたいてライトフェンス直撃の二塁打で2点を先制。さらに6番坂之下 晴人の適時打で1点を追加。さらに4回表に根尾が二死一、二塁から中前適時打を放ち、4対0と試合の主導権を握るのだ。

 智辯学園の先発・智辯学園 松本竜也は好投手で、ストレートの勢いは選抜優勝投手となった村上 頌樹と大差はなく、真っ向から振り下ろすストレートはコンスタントに133キロ~138キロを計測。威力のあるストレートで、関東大会で140キロ(球場のガン)を出した投手と比べても、勢いがあり、あくまで仮定の話だが、もし松本が栃木の球場で投げていたら、140キロ以上を出してもおかしくない。さらに120キロ台のスライダー、120キロ台のフォークの精度も高い。そんな投手から打ち崩すわけだから、やはり大阪桐蔭の打線のレベルの高さ、集中力の高さは素晴らしいものがある。

 実際に松本は大阪桐蔭打線から11奪三振をとっていたのだからミスさえしなければ十分に抑えられた投手なのである。初回の攻撃が大きかったといえるだろう。


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福元悠真(智辯学園)

  5対1で迎えた7回表、根尾は低めの変化球に泳ぎながらも、バックスクリーン弾へ飛び込む本塁打を放ち、6対1に。この本塁打に、スタンドのファンはどよいめいた。177センチ75キロとそれほど大きい選手ではないのだが、パワーも違う。根尾はなかなかパワフルなスイングをしていて、背筋が立った構えから、早めにタイミングをとって、一本足で高々を上げて、真っすぐ踏み込んで打ちに行く。スイングスピードは速く、さらにフォロスルーも大きい。まさに素晴らしいパワーを持った選手で、大事な場面で力を発揮できるの
だから素晴らしい。

 そして守備面でも見せた。7回裏、一死満塁から2番加堂陽介が放った打球は三遊間を襲う鋭い打球。これを遊撃・根尾が横っ飛び!止めた後、すぐに体を反転させて二塁へスロー。これで二塁走者がアウトになっただけで1点が入ったとはいえ、根尾の守備力の高さが際立つプレーであった。このプレーに西谷監督も「大きかった」と絶賛する守備だった。根尾に遊撃手の難しさや楽しさを聞いてみた。
 「外野手と比べて常にカバーに入ったり、動いたり、投手に声をかけたりするなど、難しさはありますが、遊撃手は配球が見られるポジションで楽しさはあります。遊撃手の動きについては、普段から奪取系や投手のトレーニングメニューで切り返しする動作をやる練習はやっているおかげで、遊撃手の守備に生きているところはありますし、細かい動作は僕が得意にしているところであります」

西谷監督は「遊撃手もできればチームにとって大きいと始めたショート。まだ荒削りですが、身体能力の高さは素晴らしいです。本当にこれからの選手ですね」と期待をこめるように、これが本物となってくれば、高校球界に名を残す遊撃手に慣れる可能性は持っているだろう。投手としても素晴らしいパフォーマンスを見せるが、野手としても多大な可能性を見せている。大事な試合でこんなパフォーマンスを見せるのだから、やはりスターというべき選手だ。

 敗れた智辯学園は主将の福元悠真が気を吐いた。第1打席から中前安打、中ライナー、左中間を破る適時二塁打、敬遠気味の四球。そして最終打席では高校通算35本塁打目となるバックスクリーン弾を放った。ゆったりとした始動からタイミングを測り、抜群のヘッドスピードで振り抜いていく。甘い球を見逃さない鋭さ、ポイントという場面で打てる勝負強さ、気持ちの強さ、長打力、技術的なモノを含めて、この世代の高校生外野手ではトップクラス。岡本和真廣岡大志のように、間違いなくプロを意識できる総合力を持った選手であることは間違いない。

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・2016年秋季大会特設ページ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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