試合レポート

久米田vs堺

2016.09.11

久米田が堺に1点差で競り勝つ

久米田vs堺 | 高校野球ドットコム

投手・水光葵(久米田)

 久米田が4点を奪った初回の攻撃、いきなりの大量得点にもかかわらずベンチからは福島 悟監督の厳しい声が飛んでいた。

 1番・坂口一生(2年)が安打、2番・川本 晃宏(2年)が送りバント、3番・永井 幸太(1年)も安打で続き一死一、三塁。絶好の先制機で4番・水上 大輝(2年)が打席に立つと永井が盗塁を成功させさらにチャンス拡大。すると水上はフルカウントからレフト前に2点適時打を放つ。水上は4番の仕事は文句なしに果たした。が、その後がいけなかった。送球が本塁に向っているにもかかわらず二塁を狙う様子はなく、続くキャプテンの5番・上田 一貴(2年)もレフト前に安打を放った際、内野への返球が乱れていたが早々にボールから目を離し二塁ベースに帰塁。試合前には三塁コーチを務める岩田 隼人(2年)が相手のノックを見て「送球が乱れがちで隙がある。オーバーランを大きく取ろう」と話していたのにその情報を生かせなかった。

 その裏、先発・水光 葵(2年)は連続四球から無死満塁としてしまうが素早い牽制と連続三振でピンチを脱出する。これが公式戦初登板、最初のピンチは切り抜けたものの初回はワンバウンドする球が目立ち、2回以降も毎回四球が続く。「全然思ったピッチング出来ませんでした。雰囲気にのまれたのもありますし、自分が抑えようとする気持ちが勝ち過ぎて体がついてこなかったです」5点リードの5回には3つの四球で満塁としの1番・形部 涼樹(1年)、2番・高畑 悠之介(2年)も歩かせ押し出しで2点を失う。前の打席で適時打を打たれた3番・中嶋 直洋(1年)はファーストファールフライに打ち取るが、二死満塁から4番・細川 蓮(2年)の鋭いライナーがセンター右を抜けると3人の走者が一気に生還。はこの回安打1本で5点を奪い同点に追いついた。この時点で水光の与えた四球はすでに11個。普段に比べれば失点は確かに取られたが、与四球と奪三振が多く被安打が少ない内容はいつものこと。福島監督も「球数は多かったですけど、球威落ちたら代えるつもりでしたけど球威は落ちず安定していたので行けるかなと思いました」と続投させた。

 すると「フォームを修正したら力強い球が行きました。体重のかけ方で、軸にかけるイメージです」と水光は終盤に好投。球数は170球を超えたが最後まで1人で投げ切った。打線は同点の9回に先頭の坂口が出塁すると初回と同じく川本晃が送った後は永井が適時打を放ち勝ち越しに成功。9回の裏、は二死から形部が止めたバットに当たるラッキーな内野安打で出塁し、高畑のカウントが2ストライクになると塚本 寿監督は形部を走らせたが、ここは久米田の捕手・川本 恭宏(2年)から低く正確なストライク送球が送られタッチアウト。勝負を懸けたが不発に終わり1点差に泣いた。

 敗れただがスタメンの半分が1年生で、塚本監督もに来てまだ2年目と若いチーム。この日の勝敗に関わらずこういった競った試合で冷静にプレー出来るよう、土日はゲーム中心の日程を組み、12月も外で実戦形式の練習を多くこなす予定だった。さらに6月には自信を持って最後の夏に臨むため、いなべ総合や宇治山田商業、市立和歌山など甲子園クラスの強豪との練習試合が決まっておりそのトレーニングの成果がどこまで通用するか試すという。“秋”の終わっただが塚本監督の頭の中に夏へのプランはすでに描かれている。

(文・写真=小中翔太

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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