試合レポート

花咲徳栄vs樟南

2016.08.15

花咲徳栄のクリーンアップトリオ、岡崎・西川・楠本が力を発揮!

 1回戦に続いて花咲徳栄のエース、高橋 昂也(3年)が苦しみながら完投した。3失点で「苦しみながら」はないだろうと言われそうだが、1回裏、1番打者に140キロのストレートをレフト前に、2番打者に142キロをセンター前に持っていかれる。さらに2回には先頭打者に142キロをセンター前に弾き返され、大量点が入ってもおかしくないような内容だった。

 それを無失点で切り抜けられたのはキャッチャー・野本 真康(3年)のおかげと言ってもいい。1回は無死一塁、2回は1死一塁で一塁走者をけん制で殺しているのだ。走者がいなくなってからも1回はヒット、2回はサードエラーで走者を出しているので、野本のプレーがなければ何点入っていたかわからない。

 先制したのはやはり[team]樟南[/team]だ。4回、二死走者なしから7番折尾 昂靖(2年)が9球粘ってレフト前にヒット、8番浜屋 将太(3年)が5球目を左中間に二塁打を放ち、待望の先取点を入れる。

 先制を許した高橋昂だが、実は3回からストレートが走り出していた。その特徴はリリースにある。多くのプロの投手が「潰す」とか「真下に叩きつける」と語るリリースの極意を高橋昂も実践していたのだ。

 136キロくらいのガン表示でも低めに息を呑むようなストレートがキャッチャーミットに吸い込まれる。8奪三振のうちストレートで奪ったのは5個あり、3回は二死一、三塁で4番打者を144キロで空振り、6回は一死一塁で8、9番打者を142キロ、146キロで見逃し、空振りという具合だ。[team]樟南[/team]からすれば1、2回に少しでも点を取っていればまた違った展開になっていただろう。

 花咲徳栄打線の殊勲者は3番岡崎 大輔(3年)、4番西川 愛也(2年)、5番楠本 晃希(3年)のクリーンアップトリオ。1点リードされた6回にこの3人が絡んで4点取り逆転する。まず9番野本が死球で出塁、1番がバントで送り2番が倒れ、2死二塁で打席に入るのは岡崎。樟南バッテリーは敬遠気味に歩かせ、4番西川との勝負を選択する。

 西川は投手強襲の内野安打を放ち同点、さらに5番楠本も一塁線を襲う2点二塁打を放ち逆転。その後も7番西銘築(3年)のタイムリーで1点追加し、勝負を決定づける。

 埼玉大会では56打点中、3人で半分以上の29打点を挙げている。とくに楠本の16打点は圧倒的だ。初戦大曲工戦(試合レポート)では岡崎と西川が打点を挙げているように、このチームの打の生命線はクリーンアップ。それがこの試合でも十分に発揮された。順調な滑り出しと言ってもいいだろう。

(文=小関順二

花咲徳栄vs樟南 | 高校野球ドットコム
注目記事
第98回全国高等学校野球選手権大会 特設ページ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.18

【岩手】一関二、盛岡誠桜などが初戦を突破<春季大会>

2024.05.18

【関東】昌平・山根が2発5打点、東海大相模・4番金本が2ランなどで初戦を快勝、東海大菅生は山梨学院を完封<春季地区大会>

2024.05.18

【長崎】長崎西、島原中央などが初戦を突破<NHK杯地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?