Interview

東海大学菅生高等学校 勝俣 翔貴選手「誰よりも愛され、信頼される打者へ」

2015.10.01

 準優勝に終わったU-18ワールドカップで最も飛躍したのが勝俣 翔貴東海大菅生)だ。U-18ワールドカップでは打点王、首位打者の二冠を獲得。常に笑顔を絶やさず、そして仲間思いの人柄で多くの選手に「かっちゃん」と呼ばれて慕われてきた。

 木製バットを使うこの大会で、強打者として存分にアピールした勝俣は今年のドラフトで指名候補に挙がる逸材だ。そんな勝俣選手の選抜後からここまでの過程を振り返っていく。

夏まではなかなか調子が上がらなかった

勝俣 翔貴選手(東海大菅生)

 選抜前までは投手として、そして野手としても順調な調整をしていた勝俣 翔貴。迎えた選抜では初戦で優勝候補の大阪桐蔭と対戦。先発出場し3回3分の1を投げて6失点、また打者としては4打数2安打という成績だった。

「投手としてはとにかくダメでした。野手としては2安打を打てたことは自信になったんですけど、まだ力みがあったので、打ち損じもありました。夏までの課題としては投手としてレベルアップすることと、打ち損じすることなく、1球で仕留めきれる打者になることを目指しました」

 選抜後の春季大会では野手中心の出場となった。これは若林監督の方針で、勝俣以外の投手陣を育て上げ、打力ある勝俣は打者に専念してもらうためだった。夏に甲子園に行くために、勝俣に頼り切らずチーム全体の実力を底上げするというのが目的だった。だが春季大会ではその投手陣が思うような結果を残すことができず、勝俣が投打で期待されることが多くなった。しかし勝俣もなかなか調子が上がらない。

 東海大菅生は5月末に招待試合で福岡に遠征したが、この時は
「投打で調子を落としていましたね。久しぶりに登板したのですが、全然慣れていなくて。長いイニングを投げ抜くスタミナをつけないと。また打撃では全然ボールが見えていなくて、自分の中で打つときに見切りが早かったかなと思います」
と投打で課題を振り返った。

 そして夏まで、勝俣は投手としてはできる限り毎日投げていき感覚を戻していった。また打撃については、調子が上がったり下がったりしていたが、東海大菅生の指導者の方が「あいつは本番になるときっちりと合わせてくるんですよ」と語っていたように、夏に入ってから本領発揮する。


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本番に強い勝俣 西東京大会、U-18ワールドカップで大活躍

3ラン本塁打を放ち笑顔でベースを回る勝俣 翔貴選手【U-18ベースボールワールドカップ 1stラウンド チェコ戦】

 まず東京大会都立田無戦で4打数1安打とまずまずのスタートを切った勝俣。4回戦の明星戦で4打数3安打、そして[stadium]昭島市民球場[/stadium]で行われた5回戦・日大二戦でホームランを含む3打数2安打2打点の活躍で勝利に貢献。そのホームランは[stadium]昭島市民球場[/stadium]のネット最上部に当たる特大本塁打であった。そして準々決勝国士舘戦では真ん中低めのスライダーを捉え、ライトスタンドへ弾丸ライナーで飛び込む豪快な本塁打を放つ。

 この2本の本塁打について勝俣は、
「まず1本目は内角を攻めてくる投手でしたので、そこに狙い球を絞って、やや詰まり気味でしたが、思った以上に飛んでくれました。2本目ですが低めのコースは大好きなので、思い切って振り抜けました」
と振り返った。

 準決勝國學院久我山戦でも2打数1安打1打点と毎試合で安打を記録。迎えた決勝早稲田実業戦。2年夏東海大菅生決勝で敗れており、勝俣としては何としても活躍したい試合だったが、結果は5打数0安打。投手としても同点を許してから降板、勝俣以降の投手陣も止めることができず、2年連続の準優勝に終わる。思うような結果が残せなかった決勝戦について勝俣はこう振り返る。

「投げていて早稲田実業の勢いに押されてしまった試合でした。打者としてはフルスイングしようという意気込みが空回りしてしまったと思います。打てているときはそんな風に意識することなく、楽な気持ちで振っていたので、その心境で打てていればと思っています」
やはり独特の雰囲気がある決勝戦。平常心を保ったままプレーするのは難しい。悔いを残して高校野球を終えたのであった。

 大会後、U-18ワールドカップに呼ばれるかもしれないので、準備しておけといわれた勝俣。
しかし「しばらく休みたかった」という勝俣は、一旦寮を出て地元の箱根に戻り、しばしの夏休みを送った。

 そして「だいぶリフレッシュができて、メンタルの切り替えができたと思います」と代表が発表される数日前に練習に復帰した。だが代表選出された後も木製バットで練習をしていたが、なかなか思うように打球が飛ばせず苦しんだ。その原因の1つとして体のキレが鈍っていたことを理由に挙げる。

「しばらく休んでいたので、体のキレが鈍っていたかなと思います。だんだん練習をしていくうちに少しずつ当たりが戻ってきました」

 その言葉通り、本戦に入ったブラジル戦の第1打席で適時三塁打を打つ。そして勝俣が注目を集めるきっかけになったチェコ戦を迎える。そんなチェコ戦の試合前のことである。勝俣が打撃練習をしているとき、西谷 浩一代表監督にあるアドバイスをもらったという。


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[page_break:成長をもたらした「経験」「仲間」「継続」]

「もう少しヘッドの重みを利かせて打ってみたらどうだ。また打つ前にバットをプラプラしてみろ」
西谷監督のアドバイス通り、打つ前にバットを揺らしながら、打撃練習をしていく勝俣。
「表現は難しいのですが・・・バットをプラプラさせるということは手首を動かすということなんですが、このアドバイスをきっかけに変わったんです」

 すると勝俣はチェコ戦で柵越えとなるホームランを放つ。これはチームとしても第1号となる豪快な本塁打となった。これで感覚をつかんだ勝俣はメキシコ戦では4番ライトで出場。試合前の練習では柵越えを連発。ナインのみんなから「かっちゃん(勝俣)すげぇ!」と声をかけられた。

 チェコ戦以降、勝俣は連日、活躍を続ける。日本は準優勝に終わったが、主にクリーンナップとして出場し、打率.556、12打点と首位打者、打点王の二冠を獲得。さらに外野手部門でベストナインを獲得した。この大会について、「非常にレベルが高い仲間と一緒にプレーができて、そして強豪国と対戦ができて楽しかったですし、大きく成長をすることができました」と笑顔で振り返った。

 そして勝俣はU-18からかえってきてプロ志望届けを提出した。現在はプロ入りを目指し、継続的に練習を重ねている。
余談だが、勝俣の底知れぬポテンシャルを表す一つのエピソードがある。スイングスピード、打球の速さには自信を持っていたが、スイングトレーサー(※ミズノ社製のスイング測定器)で、ヘッドスピードを測ったところ、MAX時とインパクト時は、「128.7km/h」を記録。この結果には、本人もまだまだ、だと感じているが、逆にこのスピードであれほどの速い打球を飛ばしているのだから、行く末が恐ろしい。
「もっと、ヘッドスピードを磨いていきたい」と話す勝俣。さらなる飛躍の可能性を秘めているだろう。

勝俣翔貴選手のスイング軌道はこちら

成長をもたらした「経験」「仲間」「継続」

東海大菅生・勝俣 翔貴選手の高校3年間を表す一言は「経験」

 そしてU-18ワールドカップを経験したことで、自分が目指すべき打者像が決まった。
「本塁打はなかなか打てないと思いました。自分は内野手、外野手の間を抜く鋭い打球を打ち続け、勝負強い打者になっていきたいです」

 勝俣は1年から順調にステップアップし、ドラフト候補と呼ばれるまでに成長を遂げたが、その成長にはどんな秘密があったのだろうか。
「やっぱり自習練習では満足いくまで練習をすること。それを継続してきたので、ここまでやれたかと思います。あと僕はこの3年間でいろいろなことを経験しましたし、素敵な仲間に恵まれました。東海大菅生の時はこいつらと甲子園に行きたい、U-18では世界一になりたい。そんな思いが僕を奮い立たせたと思います」

 仲間の大事さを強調した勝俣。今回に限らずこれまで話をしていく中で、非常に仲間思いな選手だと感じた。東海大菅生の指導者に話を聞くと、「これほどの選手でも、全く偉ぶらないところが良いところですよね。能力がある選手になると、結構傲慢な選手もいるのですが、そういう選手は活躍できないことが多い。あいつはえらぶらない、素直だからこそ慕われているのでしょうね」と勝俣の人柄を評していた。

 U-18での首脳陣と代表選手たちの絡みを見ると、愛される存在だというのが分かった。個人のスタイルを確立することが問われるプロの舞台で、慕われやすい人柄はとても大事だ。ぜひ次のステージでも皆から愛され、頼られるような強打者として活躍する姿を見せてほしい。

(取材・写真:河嶋 宗一

これまでの勝俣 翔貴選手インタビューも合わせてチェック!
「投打でひと回り成長できた真夏のトレーニング」(2015年02月26日公開)


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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