オリックス・バファローズ T-岡田選手【前編】「野球を学び、新たな自分を創る」
[stadium]京セラドーム大阪[/stadium]の3階席、時には5階席。マスコットバットで振りぬいた打球が次々と突き刺さっていく。その打球の主はオリックス・バファローズ屈指の長距離砲・T-岡田選手である。
そんなT-岡田選手にインタビュー前編では持ち前の長打を放つ方法はもちろん、昨年から取り組んでいる打撃のマイナーチェンジや、そこに基づくトレーニング方法について話を伺いました。
昨年から取り組む「新打法」
T-岡田選手(オリックス・バファローズ)
――今回は試合前の特打やフリーバッティング、試合での姿もじっくりと拝見させて頂きました。T-岡田選手は特打やフリーバッティングでもマスコットバットを使っていますよね?
T-岡田選手(以下、岡田) あのマスコットバットは機能性を重視しているゲーム用のバットと形も同じですし、重さも5~10g重いだけで、実はあまり変わらないんです。重すぎると試合の感覚が違ってきてしまいますから。
――マスコットバットの重さは?
岡田 900~910gくらいです。マスコットバットとしては軽いほうです。
――その中で、スイングの際のバットのライン(軌道)や内転筋の使い方を特に意識されていました。いつごろから、それらの点は意識しているのでしょう?
岡田 言われたような下半身の使い方は去年の春のキャンプ、2014年シーズン前のキャンプくらいから、当時バッティングコーチをやっていた長内 孝さんいといろいろ話をしながら変えていきました。
――具体的にはどのようなところを長内さんと変えていったのですか?
岡田 股関節や下半身の粘りというか・・・・・・。なんというんでしょう、言葉ではなかなか説明が難しいところなんですけど。
――実は、長内コーチは2013年に徳島インディゴソックス(四国アイランドリーグplus所属)にいたときに色々お話をさせて頂いていました。あのお方はすごく「感覚」を大事にされる方ですよね。
岡田 そうなんです。だから本当に「粘る」という感覚ですね。
――「まず股関節で粘るイメージを作って、その次にスイングに入る」という感じでしょうか?
岡田 「ねじる」じゃないですけど、股関節にしっかり乗ったものを下半身主導で。先に下半身が動いて、それに上半身が巻き付いていくような感じ。バットと一緒に巻き付いていくような動きをしたいなと思っていて、いわゆる下半身だけの「1枚岩」でバッティングするのではなく・・・・・・。
――イメージ的には、「まず股関節で粘って、そこから下半身の力を使い、さらにそこへ上半身の力が、“ガン”と行く」というような。
岡田 そうですね。
――見せて頂いた試合でやや詰まりながらも中前打を打った場面でも下半身が動いて、そこに上半身が巻きついていくからこそ、多少タイミングをずらされたと思うんですがセンター前ヒットになりました。
ああいうような形が出て、打球が上がってホームランになればいいなという事でしょうか?
岡田 そのシーンで言えば、自分の中ではしっかりとらえているイメージがあるんですが、まだ動きが自分のイメージとは少し違う分、ちょっと詰まって角度が付かなかったのかなと。しっかり目では捉えられているので「良くもないけど悪くもない」という感じですね。
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「ライン」の取り方、見方について
T-岡田選手(オリックス・バファローズ)
――打撃で重要な相手投手の投球とバットの「ライン」の合わせ方についても、伺いたいと思います。まず相手投手の投球ラインの取り方ですが、右投手と左投手を分けて見る選手もいれば、右でも左でも同じ見方をする選手がいます。岡田選手の場合はどうですか?
岡田 僕は基本的にはあまり変えないです。ピッチャーのリリースのところからしっかり自分のポイントまでのラインをイメージする。結局はホームベースの上を通るんで、そこまでのラインをイメージするだけですね。
――その「左半身を大事にする」というのは、きっかけがあったのですか?
岡田 自分の場合、ある程度広角に打ち分けられるというところが調子のいい時のバロメーターなんです。そして、いろんな方向にしっかり強い打球を打つには、左半身が大事だと思うんですよ。少々インコースに詰まっても、左半身でグッと押し込めばスタンドにも届きますし。
でも、これは「左投左打」であるからこそ、そういう感覚があるんだと思います。「右投左打」とは違う感覚でしょうね。
――スイングの軌道を投球のラインに「合わせる、乗っける」みたいなイメージですか?
岡田 「合わせる」という使い方はないですね。「ラインに入れる」という感じです。自分の手に合ったバットを自分のタイミングで、自分の軌道で振りたいと思っていますから。
――むしろ「ぶつける」ですか?
岡田 そっちのほうが近いですね。ですから自分の中でもカウント的に追い込まれてからは、パンチショットに近いイメージで振ったりします。
――そうなると先ほど話して頂いた去年あたりから打法を変えてきたことで、見えてきたものもあると思います。
岡田 去年はセンター方向への打球というのが力強くなって、2010年にタイトルを取った時(33本塁打で本塁打王)に近いものが出ていたので、今年も下半身の使い方をずっと続けていかなくてはいけないなというのはあります。
――では、左半身を大事にするというところも含めてどういったトレーニングをしているのでしょうか?
岡田 そこまで左半身を意識してのトレーニングをするわけではないですが、お尻・股関節・体幹といったところは考えてやったりしていますね。
――体幹は色々なトレーニングがあると思うんですけれど、具体的にどういったところを?
岡田 バランス系を考えた体幹トレーニングが多いですね。たとえば、バランスボールを持って自分のバッティングフォームを作りながら、バッティングの動作に似せた動きでバランスボールを遠くに投げるようなトレーニングをしています。
後編では高校球児にも大いに参考になる「動くボール」の捉え方や練習法、そして「自分に取り入れる野球の見方」をご紹介。NPBのトップ選手が親身に語るメッセージは必見です!
(取材・写真:寺下 友徳)
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