試合レポート

東海大菅生vs都立東大和

2015.04.12

東海大菅生本塁打2本で逆転、東大和存在感示す敗戦

3回表に本塁打を放った澤田翔人(東海大菅生)

 センバツ出場の東海大菅生と元祖都立の星・都立東大和の対戦。実力的は東海大菅生が上であることは確かだが、都立東大和も都立の伝統校らしく、強豪にしぶとく食らいついた。

 先制したのは、都立東大和だった。東海大菅生の先発は、甲子園でも好投した山口淳久。しかし山口の調子が悪く、都立東大和の1番中溝一紀。2番穂積海に連続四球。しかも穂積への最後の球は暴投になり、無死一、三塁。東海大菅生は投手を急遽山口から辻佳昂に交代。
「山口はいい球を投げていたのですが」と東海大菅生の若林弘泰監督。甲子園を経験した山口にしても、公式戦には練習にない緊張感があったようだ。

 代わった辻は、昨年の春季大会は投げていたものの、肩を痛め、夏や秋は投げていなかった。久々の公式戦登板であるが、都立東大和の3番渡部菖平の犠飛であっさり先制された。さらに5番大野直輝の中前安打などで三塁に進んだ穂積は、辻の暴投で生還し、都立東大和は初回に2点を入れた。

 東海大菅生もじわじわと反撃する。2回表は、中前安打で出塁した6番落合宏紀都立東大和の先発・藤原涼の暴投などで三塁に進み、8番齋藤駿汰の右前安打で1点を返した。

 3回表には2番澤田翔人がライトフェンスを超える本塁打で東海大菅生が同点に追いつく。秋は主将であった澤田だが、極度の不振で低迷し負担を軽くするため、主将を江藤勇治に代えていた。素質の良さは、若林監督も評価する澤田の一発は、チームにとってもプラスになるはずだ。

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久々の公式戦登板となった2番手・辻佳昂(東海大菅生)

 さらに4回表には5番伊藤壮汰のレフトへのライナーの本塁打で東海大菅生が逆転した。8回表には、右前安打で出塁した澤田を、3番の主砲・勝俣翔貴が右中間を破る二塁打で還し、伊藤の中前安打で勝俣も生還して、この回2点を入れた。

 山口から代わった辻も、序盤はやや不安定だったが、徐々に調子を上げ、東海大菅生のペースに持ち込んだ。何よりも、長い間実戦から遠ざかっていた辻が、公式戦を経験できたことは、東海大菅生にとっては、プラス要素だ。

 一方、東海大菅生の一発攻勢で逆転された都立東大和の先発・藤原であるが、東海大菅生の強力打線相手に、逃げずに勝負を挑み、僅差の試合に持ち込む健闘を見せた。

 都立東大和の福島靖監督は、この春の藤原の成長を認める。
「今までは、コーナーを突こうとして、打たれる悪循環でした。強気で思い切ってガンといけるようになりました」と福島監督。

 打線も、体が大きくない選手が多いものの、粘り強く相手投手に食らいついており、投手の立場からは嫌な選手が多い。大きいのを打つ選手はいないけれども、ひたむきさは、元祖都立の星としての伝統を感じる。5-2で東海大菅生が勝ち、都立東大和としては、善戦といったところだが、都立東大和の選手にすれば、悔しい敗戦であった。
「この悔しさを3か月持ち続けること」(福島監督)が、都立東大和の夏での飛躍のカギとなる。

 勝った東海大菅生であるが、澤田の一発、辻の復活登板など明るい材料もあるものの、消化不良の部分があるのも確か。
試合後若林監督は記者たちの前で、「1年生でいいのがいるんですよ」と、今大会では登録していない、1年生に言及した。ある面本音だろうが、上級生を刺激したいという意図もあるようだ。

(文=大島裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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