試合レポート

松商学園vs北越

2014.10.21

壮絶な乱打戦を制し松商学園、2回戦進出

 来春の選抜大会出場を目指して、北信越地区各県の上位3校(開催県の石川は4校)が激突する北信越地区大会。
[stadium]石川県立野球場[/stadium]の第二試合には長野県1位の松商学園が登場。3年前の同大会でコールド負けした(試合レポート)相手にリベンジを誓う新潟県3位の北越と対戦したこの試合は、壮絶な乱打戦となった。

 初回、北越先頭の山我(2年)が、松商学園先発の大型右腕・芳賀(2年)の立ち上がりをとらえ、レフト線へツーベースを放つ。一死後、3番・国松(2年)のタイムリーで北越があっさり先制。

 だがその裏、マウンドに上がった北越先発の大塩(2年)が大乱調。一死から、四死球を挟んで2番・百瀬(2年)から1番・船崎(2年)まで、6連打と犠飛を浴び、7点を奪われる。

 だが、北越打線も黙っていない。二回表に4つの四死球と2本のヒットで4点を返し、5対7。

 松商学園は、2回裏に北越2番手の伊藤(2年)を攻め、2回裏に1点、四回裏に2点、5回裏にも北越3番手・江村(1年)から失策絡みで1点を奪い、11対5とリードを広げる。

 グラウンド整備が終わり、後半戦に入ると、試合の流れは一変し北越へ。
六回表、北越松商学園2番手の徳田(1年)を攻め、9番・木戸(2年)のヒットを足がかりに、4番・田村(2年)の犠飛、5番・水落(2年)のタイムリーで2点を返し4点差。
さらに7回にも1点を返し、3点差で最終回を迎える。

 9回表、松商学園のマウンドを守るのは背番号1の恩田(2年)。北越先頭の水落がヒットで出塁すると、続く6番・佐藤築(2年)がレフトへタイムリーツーベースを放ち、2点差。さらに一死後、三塁に進塁し代打・馬場(2年)の内野ゴロの間に1点を上げ、ついに1点差まで詰め寄る。

 だが、北越の勢いもここまで。最後は木戸がレフトフライに倒れ、11対10。壮絶な乱打戦を制し、松商学園が二回戦へ駒を進めた。

コメント 小島監督(北越)

「とにかく悔しいです。ある程度、打ち合いになるだろうとは思っていたけど、まさかこんな試合展開になるとは…。初回の大塩の代え時は難しかったですね。ピッチャーの準備ができてなかったというのもあるし、残りイニングのことを考えると、あそこでリリーフというわけにはいかなかった。もっと防げる失点もあったのですが…。後半はうちの流れで試合ができた。江村がよく投げてくれたし、打線もきっちり点を取った。それだけに…悔しい。」


エキサイティングプレイヤー 江村伊吹(北越・1年・投手)

「あの1点がなければ…。1点差での負けなので、あの1点さえなければ、勝っていたかもしれない。そう思うと悔しい気持ちでいっぱいです。」

 そう話すのは北越の1年生左腕、江村。
10対5と5点リードされた5回から登板し、最初の1イニングこそ味方のエラー絡みで1点を失ったものの、残りイニングを0点に抑え、強打の松商学園相手に、4イニングを被安打1、1失点(自責0)の好投を見せた。だが、その口から出てくるのは自らの責任だと言わんばかりの反省ばかりだった。

「実は、県大会終了後に軽い故障をして。そのあと、テスト期間に入ってしまったので、満足のいく調整ができず、ぶっつけ本番でした。しかも、グラウンドのマウンドの高さや硬さも上手く合わせることができなくて。体が固くなって、変化球でストライクが取れなかった。5回の失点も四球からなので。あの1点さえなければ…」

 県大会から主に中盤以降のロングリリーフで好投してきた江村。
四死球が多いのは課題だが、左横手の変則フォームから繰り出す荒球は相手打者に的を絞らせず、スライダーは特に左打者の視界から消えるほどの切れ味を誇る。この日も、マウンドが合わなかったという5回以降、見事に適応し、相手に打線をしっかりと抑えた。

 ひとしきり反省したあと、江村はおもむろに顔を上げ、こう話してくれた。
 「僕は決してキレイなフォームではありません。でも冬場にしっかりこのフォームをし固めて投球を安定させたい。球速と制球力を付けて、ああいう場面でもしっかり抑えられる流れを作れる投手になりたい。今日の5回みたいに、どんな時でも自分の投球ができないという状況をなくしていきたい。線が細いのでしっかりと体重を増やして、そして、春は一桁の背番号をつかめるようにしっかり練習していきます」

 思えば8月の練習試合で、秋の大会で激戦の神奈川を制した強打が自慢の平塚学園を5回零封。この好投が予感させた今秋の活躍は決してフロックではない。
来春、夏に開花させるべく、さらなる高みを目指して、一年生左腕の長い冬が幕を開ける。

(文=町井 敬史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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