試合レポート

北越vs巻

2014.10.01

猛打爆発!北越、コールドで北信越大会出場決定

北越vs巻 | 高校野球ドットコム

先発・小林俊(巻)

 前日の準決勝敗戦から一夜明け、迎えた第3代表決定戦。前日のコールド負けの嫌なムードを払拭したい北越が、日本文理にあと一歩にまで迫ったと対戦。試合は、思わぬ一方的な展開となった。

 の先発は、前週の加茂暁星戦(試合レポート)で好投を見せ、前日の準決勝は登板がなかった背番号1の小林俊(1年)。

 だが、小林は北越先頭の山我(2年)に四球を許すと、2番・安部(2年)にもセンター前に運ばれ、さらに盗塁で無死二、三塁のピンチを迎える。ここで3番・国松脩人(2年)がライトオーバーのツーベースを放ち、北越が2点を先行する。
さらに犠打で送った北越は、5番・水落(2年)のスリーベース、6番・佐藤築(2年)のスクイズで2点を追加、4対0とリードを広げる。

 その裏、北越先発の大塩(2年)は、初球を投げたところで、球審に投球モーションの指導を受ける。これに動揺したのか、先頭の梨本(2年)にスリーベースを浴び、二死後、4番・田中孝(2年)にライト前タイムリーを打たれ、1点を返されてしまう。


 だが、この日の北越打線は勢いが違った。二回、大塩のヒットと四球で二死満塁のチャンスを作ると、4番・田村将太(2年)の2点タイムリーで加点。小林俊をマウンドから降ろす。さらに四回にも2番手・小鷹(1年)に襲いかかる。3四球、3連打を含む打者一巡の猛攻で5点を追加。11対1とリードを広げる。

 だが、コールドのかかった五回裏、の反撃が始まる。内野安打と北越・大塩の2つの失策、さらに2番・笠原(2年)のタイムリーで3点を返す。六回、北越は田村のスリーベースなどで4点を追加し、決めにかかるが、その裏、四死球と2本のヒットで2点を返し、15対6。の粘りを振り切りたい北越は七回、さらに2点を追加し、その裏を大塩がきっちり抑え、17対6、七回コールドで北越が第3代表に決定、北信越大会への出場を決めた。

コメント 小島監督

「昨日負けてチームがだいぶ沈んでいたのですが、『負けてもまだ公式戦ができるんだから、この与えられたチャンスをものにしよう』と話をしました。相手投手は、低めの変化球の出し入れで勝負するタイプ。しっかり見極められればと思っていましたが、ボール球に手を出さずに、効率的に点を取ってくれました。次はいよいよ北信越。文理さんや明訓さん以外にもやれる高校があるんだということ、新潟県のレベルの高さを示すことができればと思っています。新潟県代表のつもりで精一杯戦ってきます」


エキサイティングプレイヤー
国松脩人(北越・2年・一塁手)、田村将太(北越・2年・遊撃手)

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国松脩人(北越)

 今大会序盤、北越は9番・木戸を中心とした好調な下位打線が打線をけん引。勝負どころで試合を左右する大きな仕事を果たした。だが、試合を重ねるにつれて、県内トップクラスと言われるクリーンアップがその破壊力を発揮。

 この試合、3番・国松は、先制打を含む2安打2打点、4番・田村は3安打2打点1犠打と大きな存在感を示した。特に初回の攻撃では、四球とヒットで出塁したランナーを国松が返し、4番田村が送って、さらに後続が返すという理想的な展開で4点を挙げた。

「相手投手は、低めを丁寧につくピッチング。だから見極めて甘いボールを振り抜くということだけでした。1、2番が仕事してくれて自分も後ろに繋ぐだけだと思って振り抜くことしか考えていませんでした。チーム全体がドンドン振っていけたことが良かったのではないかと思います」(国松)

「(初回のバントの場面は)正直打って返したかったですけど、自分と(5番)水落が凡退するより、送ってチャンスを広げた方が相手にとって嫌だろうと思いました。自分もバントがあそこまできれいに決まって驚きました(笑)」(田村)

「僕の前に2番・安部、後ろに4番・田村。中学から一緒に野球をやってきた2人に挟まれているので心強いです」(国松)

 国松が話す通り、2人と2番のキャプテン・安部は幼い頃からチームメイト。3人とも主力として活躍した小千谷市立千田中学校時代には、軟式で県優勝、北信越大会ベスト4と輝かしい実績を残した。その実績の通り、国松は夏の大会でも3番としてレギュラー出場し、安部もケガで夏の大会こそベンチ外だったものの、春の大会では不動のリードオフマンとしてチームをけん引。だが、田村はベンチ入りしたものの、レギュラーを獲得できなかった。

「2人とも春からスタメンで出てて、自分もベンチにはいたんですけど試合になかなか出られなかった。小学校から一緒にやってきたやつらなんで、正直悔しかった部分もありました」(田村)


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田村将太(北越)

 この悔しさは夏の大会を終え、新チームで4番に座った田村の意識を変えることになる。

「4番になったことで、ランナーを返すってことだけを考えるようになりました。シンプルに考えたことが、結果いい方向に進んでいるんじゃないかと思います。今は3人で試合出れて、みんないいプレーしてて、いい刺激にはなってますね」(田村)。

 4番として覚醒した田村のバッティングは、旧チームの主将を務めた箕輪(3年)も「田村は化けました」と舌をくほど。そんな田村とキャプテンとしてチームを引っ張る安部のことを国松はこう評する。

「いいライバルでもあり、信頼できる2人です。でもこの3人は、実は中学時代から会話が多い方ではなく、正直そんなに話しはしません(笑)。でも、安部はキャプテンとして、田村は4番としてチームの軸になって引っ張っていこうと意識でやっている。3人とも甲子園で勝ち進むために北越を選んだことに間違いはないので。ダメなときは誰かがカバーして、お互い支えあっていけたらと思います。2人がいるから僕も気持ちが楽にプレーできるので」(国松)

 県3位という成績を残して、旧チームの先輩が達成できなかった北信越大会へ挑戦する北越ナイン。その大きな原動力となった中軸は、北信越大会上位進出の大きな鍵となるだろう。

「ここまでの点の取られ方が内野でのミスなので、しっかり連携の練習をして、もっと視野を広くもってプレーしていきたいです。攻撃面では、北信越でも走塁で揺さぶって相手にどんどんプレッシャーをかけていきたいと思います。そして、個人的にもこれまで通りチャンスで回ってきたら必ず返せるように、ランナーがいなくてもチャンスメイクできようにしていきたいと思います」(田村)

「北信越に向けて、走、攻、守という当たり前のことを見直していけたら。特に、走塁に関しては今大会、自分もミスが多かったので。そして、何といっても今野球ができるのはたくさんの人の支えがあるということを忘れずにやっていきたいです」(国松)

(文=編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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