樟南vs鹿児島
「樟南野球」とどろかせたい! 樟南・上園
2本塁打を放った樟南・上園健弥
樟南が伝統校らしい勝負強さを発揮し、初戦の鹿児島大島戦(試合レポート)に続き2試合連続完封勝ちで、シード鹿児島を寄り切った。
主将・上園健弥(2年)の2発が大きな流れを引き寄せた。初回は二死、3回は一死、いずれも走者なしの場面でライトスタンドに目の覚めるアーチを叩き込んだ。
「来た球を素直に打ち返しただけ」と上園。打ったのはいずれも直球。過去2試合連続本塁打はあるが1試合2本は初めてだ。
「バッテリーが頑張っているから、攻撃で何とか流れを作りたかった」と上園は考えていた。畠中優大―前川大成は1年生バッテリー。
初戦から下級生が頑張っているのに、上級生、主将が燃えないわけにはいかない。
主将の気迫に1年生バッテリーも応える。初回の先頭打者にヒットを打たれた以外は、8回まで無安打に封じた。9回を浜屋将太(1年)、吉國力(2年)とつないで鹿児島打線に二塁さえ踏ませなかった。
初戦から活躍した畠中優大(樟南)
「カーブ、スライダーでストライクがとれるようになったのが大きい。1年生バッテリーが四死球で崩れず、ゲームを作れるようになった。練習した成果を出せるようになった」(山之口和也監督)。
「センバツを狙ってますから」
上園主将は言葉に力を込める。振り返れば鹿児島を代表する名門校だが、センバツは02年以来、12年間遠ざかっている。この夏も8強入り前に国分中央に敗れ、秋のシードがかかる鹿児島市内大会でも鹿児島情報に苦杯をなめ、1回戦からのスタートだった。
名門校、伝統校の名に懸けて、これ以上大会序盤で負けたくない気迫がこの2試合からは伝わってくる。
「樟南野球をとどろかせたい」
上園主将の決意だ。少ないチャンスをものにしてそつなく点をとり、鉄壁の守備で守り切る。まだ大会序盤だが、その決意はゲームで表現できた2試合だった。
(文=政 純一郎)