試合レポート

日大二vs都立八王子北

2014.07.06

日大二、集中打で開幕戦を制す

 開会式は曇り空の下、時折小雨が降る中で行われたが、開幕戦のシートノックが始まる頃には、太陽が顔を出し、青空も広がってきた。東京でもいよいよ、高校球児の夏が始まった。

 開幕戦は、都立八王子北日大二日大二は夏4回、春2回、甲子園大会に出場している名門で、このチームも秋季大会1回戦帝京にコールド勝ちしている。一方八王子北は、昨夏4回戦で敗れたものの、早稲田実業と1点差の好ゲームを演じるなど、都立の好チームとして知られる。開幕からの好カードに、開会式を観た観客は、例年以上に多く残って、開幕戦を見守った。

 試合に先立ち、東京都中学校春季大会で優勝した江戸川区立上一色中学の主将でエースである田口仁平の始球式が行われ、熱戦の火ぶたが切られた。

 日大二の先発は背番号11で2年生の村田匠。1年生ながら正位置を確保した林健太とバッテリーを組んだ、対する八王子北は、田中駿野小林巌太の3年生バッテリーで臨んだ。八王子北の田中は、変則気味のフォームから、低めに決まるスライダーなどを武器にしている。しかし開幕独特の雰囲気の中で硬くなってしまったのか、ボールが高めに浮く。

 日大二は初回からそこを逃さなかった。2番三草丈が左前安打で出塁すると、二盗、三盗を続けて決めて、田中を揺さぶった。3番但野真一のピッチャー返しの打球がセンターに抜け、まず1点。
3回裏には先頭打者8番村田が左前安打で出塁すると、9番齋藤栄二郎、2番三草は送りバントをしたが、八王子北は、いずれもバント処理に失敗して一死満塁。そこで3番但野は左前安打。前の打席に続く適時打で2人を還した。続く4番新田丈の右前安打でさらに1点追加し、日大二は4点をリードした。


  日大二先発・村田は、力のある球で押していき、3回を1四球のみに抑えた。ところが4回表、八王子北の1番、1年生の関戸健太が三塁への内野安打で出塁すると、続く中家大輝が三振の間に二塁に盗塁。4番村田佳の左前安打で二死一、三塁。5番小林は高めの球を弾き返して1点を返した。

 ただし、八王子北の反撃もここまで。日大二は5回裏には、但野の左前安打など4安打を集中して3点。6回裏にも上原和人の右前安打により、中前安打で出塁していた但野を還して、7点差となる8点目を入れた。
この日但野は4打数4安打の大当たり。日大二打線は大振りせず、しっかりミートする打撃で、単打ばかりの13安打を記録した。

 この回無得点ならコールドが成立する7回表、二死から、この試合控えに回っていた主将の海江田匡一郎が初球を叩いて、中前安打。主将はまだ勝負を諦めていなかったが、後続は絶たれて7回コールドが成立した。

 八王子北は、開幕戦の硬さもあって、強豪相手にコールド負けしたが、内野手の好プレーも随所にあり、鍛えられたチームであった。本来、初戦でコールド負けするようなレベルのチームではないが、多くの観客が入った神宮球場で試合ができたことは、良い経験になったのではないか。

 ところで、八王子北の主将・海江田と、日大二の主将の大島卓は、ともに日野四中出身で、今年は一緒に初詣に行くほど仲がいい。それでも、対戦が決まってからは連絡を取り合っていなかったという。試合の後、八王子北の海江田は、日大二の大島に千羽鶴を手渡し、笑顔で握手をした。今夏の東京で最も早く敗れた八王子北。「聖地への想い」は、親友を通じて、日大二に受け継がれた。

(文=大島裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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