試合レポート

横浜vs横須賀

2013.04.14

横浜vs横須賀 | 高校野球ドットコム 

伊藤将司(横浜)

躍動する横浜の新エース

神奈川県大会は13日に開幕し、2日目を迎えた。[stadium]横須賀スタジアム[/stadium]では横浜が登場。試合前には内野席がほぼ埋まるほどの盛況ぶりで、相変わらず横浜の人気ぶりは凄い。

この試合の注目は春から背番号1を背負った伊藤 将司だ。伊藤は千葉県・横芝中出身。Kボール・オール山武のエースとして千葉県優勝。その名は千葉県内では知れ渡っていた逸材だ。全国各地からの逸材が集まる横浜においてエースナンバーを奪うのは並大抵なことではないが、彼は1年秋にベンチ入りし、そこから急成長を果たし、2年春にエースナンバーを背負うようになった。主戦を任されるまで地道な努力があったと思うが、よく勝ち取ったと思う。

その伊藤。投球の印象を述べると出所の見難さとダイナミックさを両立したフォームで、躍動感を感じる左腕であった。

 

小さいフォームは主流となっているが、出所の見難さとダイナミックさが備わった投手は中々いない。彼は肘の可動式が広く、そして股関節の柔軟性も高いので、小さく複雑な動きでもスムーズに投げられるのが強み。腕の振りの鋭さ、下半身の使い方、リリースポイント、上半身と下半身の連動性はかなり高いレベルに到達しており、浦和学院小島 和哉と肩を並べるのも時間の問題だろう。

今日の最速は部員が測っていたスピードガンによると最速132キロ。だが回転数が高く、球速表示以上のモノとさせる球質で、135キロ前後は出ているのではないかと思わせるストレートであった。さらに出所が見難い投球フォームなので相当打ちにくい。横須賀の打者のほとんどが振り遅れで前へ飛ばす事が出来ていなかった。彼のストレートは初見では捉えるというのは困難ということなのだろう。伊藤が降りた後に横須賀打線が次々と振りぬいて前へ打球を飛ばしていたのがその証拠だ。

キレの良いストレートを内外角にコントロールしながら、意図的に高めのストレートを投げさせて空振りを誘っていた。3イニングを投げてノーヒットに抑えて降板した。まだ体は細いが、これから本格的に鍛えて、スピード面を高めていきたい。また横浜から楽しみな投手が一人現れた。


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高濱祐仁(横浜)

一方、打線の破壊力は相変わらず健在であった。1回裏には一死二、三塁から4番の高濱の先制2点二塁打を皮切りに、二死一、三塁から7番松崎のライト前タイムリーで3対0。8番伊藤のセカンド強襲ヒット。中継のもたつきなどもあり二者生還で5対0とすると、さらに9番高井のタイムリーでもう1点を加える。2回裏にも3点を入れて9対0。

横浜打線の中心は4番の高濱 祐仁
打席の雰囲気から感じる隙の無さといい、トップからインパクトまで最短距離で振り抜き、打ち損じをせず、ボールを捉えるセンスは健在。注文をつける所は打撃面で殆どない。あとはレベルの高い投手に対する対応力を示し、三塁守備の完成度を高めていくだけだろう。

他ではショートストップ・川口 凌(2年)。
動作は小さい打撃フォームから無駄のないスイングで、押し込みが強く力強い打球を飛ばしていく好打者。守備では踏ん張ってから力強いスローが出来る強肩が売りのショートで、今後の成長が楽しみ。3打数3安打を放ったセカンドの松崎 健造も大当たりであった。彼も7番打者とは思えないぐらいバットコントロールが巧みであった。

 追う横須賀は4回表に反撃。二番手で登板した倉田から1番忠平がチーム初安打となるライト前ヒット。一死一塁から3番臼井が放った打球はセンターへ。ただ打球が途中でレフト方向へ切れていき、目測を誤ったセンター浅間が落としてしまう。一死二、三塁となり4番兼尾のタイムリーで1点を返す。

4回裏、横浜は倉田と浅間のタイムリー、長谷川の2点タイムリーで4点を入れて13対1に。
5回表から横浜は三番手の小田を投入するがピリッとしない。二死一、二塁から1番忠平が放ったライト前への当たりをライトの小野が飛び込んで取りにいくものの、後逸。二者が生還、14対3に。後続を抑えて5回コールド勝ちを決めたが、ただ伊藤の後をつないだ2投手が3失点したこと。そして外野手2人の判断ミスによる失策は今後の試合に向けて不安が残る内容。今後へ向けて修正を図りたい。

投手では伊藤、野手では高濱、川口と対抗できる戦力は整った。ただ昨夏の王者である桐光学園の松井 裕樹からは1点を取ることでさえ困難だ。勝つには投手戦しかない。それには新エースの伊藤の左腕にかかっている。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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