試合レポート

富士見vs市立川越

2012.04.17

富士見vs市立川越 | 高校野球ドットコム

注目の左腕・小川(富士見)

壁を乗り越えた富士見

 今大会は地区大会で大宮東浦和実鷲宮など県内強豪校が早々に敗れる波乱が起きている。市立川越も例外ではなかった。埼玉富士見–市立川越という地区大会屈指の好カードは、埼玉富士見が注目の左腕・小川、市立川越はエース・小島の両先発でスタートする。

「最近は投げてみないとわからない」(市立川越・新井監督)
と言うとおり、市立川越・小島に昨夏の安定感は見られない。どうやら、昨年に右足肉離れを起こして以来、右足に重心が乗らずフォームのバランスを崩したそうだ。この日もストレートの抑えが効かない。フォアボールで傷口を広げる形で、初回無死1,2塁、2回2死1,2塁とピンチを作る。ここは相手の走塁ミスもあり何とか無失点で切り抜けたが、一向に調子は上がらず、とうとう3回表に捕まる。フォアボールと味方のエラーなどで無死満塁としてしまうと、3番・的場にセンター前へ2点タイムリーを打たれ、早くもマウンドを降りる結果となった。予想外の早期交代に代わった関根も準備不足は否めず、続く鈴木に代わり鼻を叩かれ打球はレフトスタンドへ消える。これが3ランホームランとなり、あっという間に市立川越は5点のビハインドを背負う。

 一方の埼玉富士見・小川だが、この日はストレートが走っており序盤は順調だったが、大量リードをもらったことでやや気が抜けたかリズムを崩してしまう。3回裏、この回先頭の原澤こそレフトを左中間に配置するなど外野をすべて右に寄せるポジショニングのファインプレーで何とかアウトにとるが、その後の関根から4連打を浴び、さらに押し出しもあり2点を返される。市立川越・関根がその後調子を上げ、埼玉富士見打線をスイスイと抑えていくのに対し、小川はその後も

「この試合7-6で勝て!」
と新井監督に発破をかけられた市立川越打線に苦しめられ、毎回のように得点圏にランナーを背負う。7回2死満塁では代わった大内に救援を仰ぐが、5回1死2,3塁で丹羽、そして再登板した8回2死2,3塁では冨岡をきっちり打ち取り失点を最小限に食い止める粘りのピッチングを見せる。結局、3回の5点が最後まで両チームに影響を及ぼし、6-3で埼玉富士見が勝利した。


富士見vs市立川越 | 高校野球ドットコム 

関根(市立川越)

 市立川越は序盤の5失点も重かったが、この日13残塁とチャンスであと一本が出なかった。特に、冨岡、丹羽の3,4番が抑えられたことも大きかった。とにかくこの敗戦により市立川越はノーシードで夏を迎えることとなった。エース・小島の不調も気になるが、冨岡頼りの攻撃陣は少々心許ない。

「もう一回振り込ませます」
と、新井監督も夏への再起を誓っただけに4番・丹羽を含め他の選手の奮起に期待したい。

一方の埼玉富士見だが、元々自力はあるが、昨夏は初戦で花咲徳栄、昨秋は聖望学園、そして今回は市立川越と、早い段階でことごとく、強豪校にぶつけられるというくじ運の悪さに泣かされてきた節がある。だが今回はそれを乗り越えた。走塁ミスはあったが、右打者に対し外野が大胆なシフトを敷き、それが見事に当たるなど攻守において積極的なこの日の戦いぶりは見事だった。投では130km中盤のストレートにキレの良い変化球を持つ小川、守備範囲も広くシュアな打撃をみせる谷口、長打力のある鈴木とチームの柱になれる好選手を揃えているだけに、投打が噛み合うと県大会でも上位を狙える面白い存在になりそうだ。

(文=南 英博)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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