試合レポート

愛工大名電vs富田

2011.03.23

愛工大名電vs富田 | 高校野球ドットコム

浜田達郎(愛工大名電)

逸材多数!今年も見逃せない愛工大名電

2試合目は愛工大名電―富田の対決だ。

1回の表から愛工大名電の打線が富田の先発・新海の立ち上がりをとらえる。
3四死球などで満塁として4番大村がセンターへの犠牲フライを打ち1点を先制。再び満塁として鳥居の2点タイムリーで3対0とする。
更に2回の表、ワンアウト1塁から3番佐藤の左中間を破るスリーベースで1点を加え、さらに4番大村のタイムリーで、そして5番田中が放った当たりはセンターの頭を超える長打。センターがもたつき俊足・田中は快速を飛ばして一挙にホームイン。ランニングホームランとして7対0とした。
そして6回の表、6番鳥居のライト超えの三塁打などで3点を加えて10対0。
このままコールドゲームかと思われたが、富田はエースの新海がレフトスタンドに飛び込むホームランで1点を返す。
しかし7回の表、1番の村山がレフト上段へ飛び込むホームランで11対1。愛工大名電富田をコールドで下し、順当に県大会進出を果たした。

愛工大名電vs富田 | 高校野球ドットコム

エースの浜田達郎は1年秋からエースとして活躍してきた左腕。
1年秋まで182センチ88キロと恵まれた体格だったようで、ずいぶんと絞られた印象を受けた。
それでも体は大きく、エンジンの大きさは並みの高校生と違う。
左オーバーから投げ込む直球は120キロ後半~134キロと若干抑え気味の印象だ。変化球はスライダー、カーブを確認。主にスライダーを使い、ストレートと織り交ぜながら抑えていく。
前半は高めに浮くことが多かったが、徐々に低めに集まり、コンビネーションで抑えることができていた。
体格は非常に素晴らしい。ただストレートのスピード、制球力、変化球の切れ、クイックなど身につけなければならない点はある。
フォームもいまいち体重に乗りきらない状態で用いる力をフルに発揮していない印象を受けた。
来年の愛知県を代表する左腕になりうる逸材だと思うので、今後の活躍に期待したい。


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村山賢輔(愛工大名電)

サードの村山賢輔は評判の高い強打者で一度チェックを入れたかった逸材。
この試合では4打数2安打1ホームランを記録し、持ち前の強打を披露してくれた。
打球の速さが素晴らしいと聞いていたが、確かにこの選手の打球速度の速さは超高校級だ。スイングスピードの速さに加え、金属が重なり、とてつもない打球を見せてくれる。
巻き込んで打つスタイルで打球方向はレフト方向が中心。
特に高めに浮いた直球を好む。しっかりとトップを作り、ボールを引きつけて大きくフォロスルー。そして放物線を描く打球は惚れ惚れさせられる。
ただ変化球の対応については分からない部分があり、レベルが上がる舞台で同じような打撃が出来るか。
サードの守備については果敢に動く選手。ボテボテのショートゴロを掻っ攫うほどボールに対する食らいつきが良い。
まだ守備のリズムに気になるところはあるが、ステップ、グラブ捌きはまずまずで地肩は中々強い印象を受けた。
また脚力にも自信があるようで、走れるならどんどん走るタイプだ。
昨年の関東一のスラッガー宮下 明大とかぶる部分があり、素材の凄味は負けていない。今後も注目される存在だろう。

個人的に一押しなのが田中 彪谷口雄也を意識した美しいスイング軌道が光る長距離打者。
均整の取れた体格に自分の間を持った構えには存在感を感じさせ、異彩を放つ。
投手の足が降りたところから始動を仕掛け、ステップを小さく取って真っすぐ踏み込む。
トップの動きは小さいが、体をうまく伸縮させてそのバネを活かして打つ。スイング軌道は綺麗で、尚且つ軸もぶれず安定した打撃フォームをしている。打球もかなり速く、ライナー性となって飛ぶ打球はぐんと伸びていく。
走り方が綺麗な選手で、ぴしっと姿勢が乱れない走法をしており、加速に乗ってからのスピードが実に速い。
昨年は一塁手だったが、今年はレフトへ転向。まだ一つ一つの処理に確実性を欠くが、地肩の強さは高校生として基準レベルに達している。
今年の外野手と混ぜても高いレベルに到達しており、今後のパフォーマンス次第では名前が挙がる存在だろう。彼にも注目してもらいたい。

セカンドを守る佐藤大将の守備力の高さは特筆すべきものがある。
ボールの反応、動き自体から存在感を出しており、スピードがほかの内野手に比べても飛びぬけている。
また捕ってから投げるまでのクイックスローも実に素早いし、難しい体勢から切り返しても強い送球が出来ており、足腰の強さ、リストの強さもある。この試合ではセンターへ抜けそうな打球に追いつきアウトにすることができていた。
こういうプレーは一度、二度だけではないようだ。
打撃もシャープな打撃が出来る。スクエアスタンスで構えて、グリップを高めに置いて上から鋭く叩き、打球にスピンをかけて飛ばす選手だ。走塁も速く、実戦的なプレーヤー。センターラインにこの選手がいるのは実に心強い。

今年も愛工大名電は逸材ぞろい。上のレベルでも活躍が期待できそうなプレーヤーは何人もあり、夏まで見逃せないチームになりそうだ。

(文=編集部:河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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